栄光学園の算数2019年は、例年通りの出題傾向、難易度でした。
大問3、大問4のそれぞれ前半が、比較的点の取りやすい問題だった分、多少易し目の年だった、とも言えます。
順に見ていきましょう。
大問1 平面図形・転がる問題
(1)ウオーミングアップ
(2)ウオーミングアップ
いずれも、簡単です。普通に転がして下さい。
(2)は、図面が重なりますが、回転はすべて30度(120-90)。あとは、半径に注意するだけです。
大問2 展開図
(1)(2)
いずれも、見取り図の頂点に記号(ABC・・・)を打てば、簡単です。定番問題。
(3)
長さの合計を最大にするには、なるべく15cmの辺を切ります。
最小にするには、なるべく10cmの辺を切ります。
(4)
(1)~(3)を解く中で、展開図上のそれぞれの面を一つつなげるとき、辺の数が何本増えるか、という規則性に気づくかが、合否の分かれ目です。
もっとも、他校で同じ問題が出題されたこともあり、知識で解けた受験生もいたでしょう。
五角形1個のときは、辺は5本。一つつなげると、初めの5本のうち1本がつぶれ、新たにプラス4本ですが、さらに一つつなげると、その4本のうち1本がつぶれ、3本となります。
結局、最初と最後の五角形は、4本。途中の10個の五角形は、3本。
4×2+3×10=38本
1本の辺を切ると、展開図上では2本に表されるので
38÷2=19本
大問3 ルール指定・規則性
(1)(2)練習
このあたりから、栄光学園らしい、知能テスト系の問題が出てきました。
(1)のみならず、(2)も練習です。
それならば、練習は(1)だけ、(2)だけでも、よさそうに思えますが、あえて、(1)を独立させています。
ここが重要なヒントになります。
(1)図4では、「同じコマが連続していると、最後まで裏返されることはありませんよ」というヒントを教えてくれています。
(2)図5では、連続するコマの色が1種類のとき、最終的には、すべてのコマが、初めに連続していたコマの色になることを、学びます。
(2)図6では、連続するコマの色が異なるとき、それぞれの色がどのように自分たちの陣地を拡げていくか?について、学びます。初めの陣地どうしの、ちょうど中間地点が、最終的な境界線になります。
(3)確認
(1)(2)のヒントを吸収できていれば、(3)は実演しなくても解けますが、(3)で、ようやく気づくこともあるでしょう。
いずれにしても、(1)~(3)までは、ひたすら実演すれば解けるので、栄光の受験生であれば、きわめて高い正答率だったはずです。
(4)応用
一般的には、かなりの難問です。いきなり(4)を出題されたら、時間内に解ける人は、ほとんどいないでしょう。
ただし、前問までで、規則性をすっかり飲み込んだ人にとって、(4)は簡単です。
合否を分けた問題の一つです。
大問5 表で解くつるかめ算・応用
(1)つるかめ算・基本
正答率は100%に近かったでしょう。
(2)
130+120=160+90=250という関係に注目します。10倍すると、ちょうど2500で好都合です。
まず、Aがツル10個の場合、Bがカメ10個と、自動的に決まります。
次に、Aがツル9個の場合、Bがツル1個を折る必要がありますが、ここで30秒のロス。
このロスを取り返すには、Bのカメを1個減らして、Aにカメ1個を折らせることになります。
以下、同様。(10,0)(9,1)(8,2)・・・(0,10)となります。
(10,0)から(9,1)への変化が、他にとるべき道のない、唯一の変化だということに気づけば、あとはドミノ倒しのように、トントンと(0,10)まで進みます。
そして、これ以外の組み合わせはない、との確信も持てます。
(3)組み合わせ
A君のツルとカメの個数の組み合わせは、11×11=121通りあります。
すべて試せば、必ず解けます。あとは、いかに効率的に試すか?です。
最も極端な場合、A君にツル10個折らせると、1300秒かかります。(その間に、B君はカメ10個を折り終わっています)
この時点で、1300秒が暫定1位。以後、1300秒より時間のかかる組み合わせは、ナシです。
次に、A君がツル9個折る場合について。1300秒より早い組み合わせは、A君カメ1個しかありません。カメ2個折ったら、1170+180で1300を超えてしまいます。
この要領で、A君のツルの個数を1個づつ減らして調べていくと、121通りすべて調べなくても、効率的に見つかります。
調べる途中で、ひとたび記録更新されれば、今度はそれが暫定1位になり、以後、それより時間のかかるものは、即座に排除すればよいわけです。
それでも、本問はかなり手間がかかる難問です。捨て問にするのも、やむを得ません。
算数は70点満点。
学校公表の受験者平均点は、37.2点。合格者平均点は49.2点。
正確な配点は不明ですが、小問単位で4~5問落としても、合格者平均点には到達できそうです。
難問は、大問3(4)、大問4(3)です。あとは、大問2(4)、大問4(2)あたりが続きます。
それ以外ができれば、合格者平均点。
では、不合格だった人には、何が足りなかったのでしょうか?
可能性としては、
といったところでしょうか。
栄光学園の受験生はレベルが高いので、ミスに関しては、やはり致命的です。
あと、大問2の展開図問題と、大問3のルール指定問題は、いずれも、計算がほとんど必要ない、アイデア勝負の問題です。
栄光学園の問題が、知能テスト的に感じられるのは、この部分です。
日ごろから、計算をあまり必要としない、アイデア勝負の問題に、積極的に取り組んで、慣れておくことが、対策として重要です。
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