栄光学園の算数


NEW! 栄光2024年算数

傾向

栄光学園の算数は、例年、大問4~5問で構成されています。

 

制限時間60分で大問4、5問。冒頭の計算問題はなし。このことからも、かなりの難問ぞろいであることが、予想されます。

 

よく出る分野は、「場合の数」「数の性質」「平面図形」「立体図形」「速さ」あたりです。

 

もっとも、「平面図形」でも、2017年大問5のように、ほとんど「数の性質」といってよいものや、「立体図形」といっても、2016年大問3のように、ほとんど「場合の数」といってよいものもあります。

 

2016年大問4(3)は、「速さ」の問題ですが、ほぼ「数の性質(規則性)」の問題です。

 

結局、ほとんどの問題が、「場合の数」「数の性質」から出題されているといってもいいでしょう。これが、栄光学園・算数の最大の特徴です。

 

「場合の数」「数の性質」も、その出題形式は、

  • 「すべて求めなさい」
  • 「すべて答えなさい」
  • 「最も大きい整数を答えなさい」
  • 「最も小さい整数を答えなさい」

などとなっています。「全検索問題」と、「最大最小問題」です。

 

なぜ、このような出題傾向になっているのでしょう?理由は、「中学受験と方程式の問題」にあります。

 

「聖光学院の算数」でも、くわしくご説明していますが、中学受験算数では、方程式を使ってはいけないという、不文律があります。昔の中学受験では、「方程式を使うと落ちますよ」とまで言われていました。「方程式にあてはめて、機械的に解いたのでは、思考力が判定できないから」というのが、その理由です。

 

栄光学園の解答用紙が、答えの数字だけでなく、「考え方」を記述するよう求めているのは、そのような見識の表れです。

 

多くの新興勢力の学校が、倍数算という名の「連立方程式」や、「立体切断問題」などを多用し、中学、高校数学の予習を求める中、栄光学園は、本来の中学受験算数の伝統を、守り抜いています。

 

では、思考力を判定するため、何を用いるかというと、前述の「場合の数」「数の性質」なのです。特に、「場合の数」は、「場合分け能力」を試すのに最適な分野です。この能力に秀でている人は、高校数学の適性を備えています。

 

「全検索問題」も、結局、この場合分け能力を試しています。

 

一方、「最大最小問題」も、思考力の判定に有効な出題形式です。こちらで試されるのは、規則性(特徴)を見抜く能力です。

 

問題文で指定されたルールの下で、操作をくり返すうちに、一定の規則、特徴が現れてきます。それをうまく読み取って、「このあたりが最大」「このあたりが最小」と、あたりをつけるわけです。

対策

それでは、このような出題傾向に対し、どのような対策を立てればよいでしょうか。

 

栄光学園では、大手塾のテキストに掲載されている定番問題が、そのままの形で出題されることは、ほとんど期待できません。

 

それでも、まずは、定番問題をすべてマスターする必要があります。なぜならば、栄光学園オリジナルの問題の中にも、定番問題の要素が部分的にうめ込まれたりしているので、ここでつまずくとアウトだからです。

 

たとえば、2018年大問2などは、「等差数列の和」「相当算(差相当)」などの知識を、当然の前提にしています。

 

その上で、日ごろから、定番問題を解く中で、算数的な発想に思いをめぐらす必要があります。

 

先ほどの2018年大問2でいうと、次のような発想を感じとれているかが、勝敗を分けます。

 

たとえば、1に1を足すと、2。すなわち、2倍に増えます。

 

ところが、10に1を足しても、11。2倍には全然とどきません。

 

10000に1を足すと10001。1を足した影響は、どんどん小さくなっていきます。

 

ちょっと極限値的な発想です。高校数学では、こういう感覚が大切です。

 

それを、小学生のときに、どのくらい感じ取れているか?そこを試しています。レッツ算数教室的にいうと、「極端に考える」という発想になります。算数の発想法については、このホームページの「算数の成績を上げるには」の中で、説明しています。

 

では、定番問題を解く中で、いつ、このような発想、感覚が身につくのでしょうか?「数式を使った説明はちょっと・・・」という方は読み流していただいて大丈夫ですが、私、室長・横山は、本問を解きながら、次のような問題を連想しました。

 

たとえば、売買損益算。

 

「原価100円で仕入れたペンを、2割の利益をみこんで、定価120円にしました。ところが、売れないので、2割引きで売りました。利益が出ますか?損しますか?」といった問題。定番問題です。

 

答えは、4円損します。計算すれば、すぐわかります。

 

でも、そこで終わっている子は、栄光学園には向かないかもしれません。

 

ここで、

 

「2割増しのあと、2割引きだから、もとに戻るはず。利益も損もないはず。それなのに、どうして損するのだろう?」

 

「どこでだまされたのだろう?」

 

「自分の考えのどこに非があるのだろう?」

 

と悩む子は、栄光学園向きです。

 

すると、同じ20円でも、100円に対する20円と、120円に対する20円とでは、影響(割合)が違うということが、わかります。

 

問題を解き終わっても、

 

「わあい、宿題終わった、終わった。バンザーイ」

 

とせず、解き終わった問題をふり返る。自問自答する。こうやって、伸びていくのです。

 

このように、問題を解く中で、「もうひと手間」かけて、問題文がきいていないことにまで、思いをめぐらせて、算数的な感覚をみがいていきましょう。

 

なお、「全検索問題」「最大最小問題」は、筑波大附属駒場中学、渋谷教育学園幕張中学でも、非常によく出ます。栄光学園の過去問と合わせて、勉強する価値があります。



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