広尾学園2019年第2回(本科・インターSG)算数は、例年通りの出題傾向でした。
「平面図形」「数の性質」「場合分け問題」「規則性」などが出題されています。
難易度も、ほぼ例年並みか、やや易し目かな、ぐらいです。
定番問題の定着度を測る問題が、多数出題されています。
その分、合格者平均点は、高くなっています。
順に見ていきましょう。
大問1「計算問題」
(1)「計算の工夫」
一目見て、11,33,121と、11の倍数が並んでいます。
まず、( )の中から。なるべく、11が現れるように、式を変形します。
7×121+33×11=7×11×11+3×11×11=77×11+33×11=(77+33)×11=110×11
よって、111×11-110×11=(111-110)×11=1×11=11(答え)
(2)(3)普通に解きましょう。
(4)「特殊な2次方程式」
本来、中学校の数学で勉強する「展開、すなわち( )をはずすこと」というのを使うと、
□×□-5×5=144
となります。
□×□=169より、□=13
でも、中学入試問題なので、算数らしく解くと、
という手順になります。
このうち、差が10のものは、8×18。
□+5=18より、□=13(答え)
大問2
(1)「等差数列の和」
「偶数」ですから、公差2の等差数列です。
偶数が何個あるかというと、(100-50)÷2+1=26個です。(植木算の関係に注意しましょう)
よって、(50+100)×26÷2=1950(答え)
(2)「等積移動」
半円の中心を共有する、2つの合同な直角三角形をかき、重なっていない部分の面積が等しいことを、利用します。
結局、半径10cm、中心角120度のおうぎ形の面積kと、等しくなります。
定番問題です。
(3)「回転体の体積」
図形を回転すると、ABの右側部分は、左側部分と重なるので、左側部分の回転だけ考えます。
半径2cm、高さ3cmの円柱の体積から、半径1cm、高さ1cmの円柱の体積を引けばOKです。
2×2×3.14×3-1×1×3.14×1=(12-1)×3.14=34.54㎤(答え)
(4)「ニュートン算」
ポンプ1台1分でくみ出す水の量を1とします。
6×20=120…ポンプ6台20分でくみ出す水の量
9×12=108…ポンプ9台12分でくみ出す水の量
120-108=12…20-12=8分間にわき出た水の量
12÷8=1.5…1分間にわき出る水の量
120-1.5×20=90…もともと池に入っていた水の量
90÷(12-1.5)=69/7分(答え)
典型的なニュートン算です。
大問2は、すべて、有名な定番問題ばかりでした。
満点をめざしましょう。
大問3「平面図形と比」
(1)三角形BDEと三角形ABCの面積を比べるにあたり、辺BD、AB側を、底辺と考えます。
すると、三角形BDEは、底辺が4分の1、高さが2分の1になっています。
よって、三角形BDEの面積は、
24×(1/4)×(1/2)=3㎠(答え)
(2)三角形CDEと三角形ABCの面積を比べるにあたり、辺CE、AC側を、底辺と考えます。
すると、底辺が2分の1、高さが4分の3になっています。
よって、三角形CDEの面積は、
24×(1/2)×(3/4)=9㎠
差は9-3=6㎠(答え)
(3)BP:PE=三角形BCD:三角形CDE=24÷4:9=2:3(答え)
「平面図形と比」の、定番中の定番です。しっかり得点しましょう。
大問4「速さ」
(1)400÷(6-2)=100秒後(答え)
(2)(1)があまりにも易しい場合、(2)以降が大変になりがちですが、本問は、まさにその典型例です。
出会うたびに向きが変わる問題は、手間がかかります。
まず、AとBが何秒ごとに出会うのか、チェックしておきましょう。
400÷(6+2)=50より、2回目は1回目の50秒後。
よって、100秒後、150秒後、250秒後、300秒後、400秒後……です。
次に、AとCが1回目に出会うのは、400/7秒後。
単純に2倍すると、800/7秒後となり、100秒を越えるので、その間にAの向きがかわります。
そこで、100秒後の状況を調べます。
Aはスタート地点から6×100=600mの地点。(1周と200m)
Cはスタート地点から1×100=100mの地点。
ここから、AとCは、同じ向きに進むので、Aが300m遅れていると考えます。
300÷(6-1)=60秒後(スタートからは160秒後)に、AがCに追いつきそうです。
ところが、Aは150秒後にBに出会って再び向きを変えるので、そうはいきません。
そこで、150秒後の状況について、調べる必要があります。
6×50=300m
Aはスタート地点から200mの地点から、300m移動した結果、スタート地点から100m(Cと同じ向きに)進んでいます。
この時、Cはスタート地点から150mの地点にいます。(裏を返すと、スタート地点まで、あと250mです)
ここから100秒間は、AとCは逆向きに進みます。
(100+250)÷(6+1)=50秒後に、出会います。
150+50=200秒後(答え)
お疲れ様でした。
(3)(2)が大変だったので、(3)はもっと大変……と思ってしまいますが、気を取り直して、問題文を読むだけ読んでみましょう。
その際、はじめから捨てるつもりで読むと、解ける問題も解けなくなりますから、しっかり集中して読むことが大切です。
すると、(3)は(2)と異なる問題で、まったく別のアプローチから簡単に解けることに、気がつきます。
BとCは、常に一定の向きに進むので、 出会う時間も、一定の間隔になります。
400/3、800/3、1200/3=400
(2)で調べたAとBの出会いに、400秒後がありました。
よって、400秒後(答え)
大問5「数の性質」「約束記号」
(1)約束記号の意味を確認するための、練習です。
35と91の最大公約数は7。(答え)
(2)Cは、6との最大公約数が3となります。
6=2×3なので、Cに素因数としての2が含まれていてはいけません(もし含まれていると、最大公約数が6になってしまいます)。
3×1=3、3×3=9、3×5=15など、3の奇数倍で、50以下の整数が答えです。
答え、3,9,15,21,27,33,39,45
(3)まず、15との最大公約数が5となる整数を求めます。
ここでは、整数Eとしましょう。
Eは、50以下という条件とは無関係である点に、注意が必要です。
(50以下は、整数Dについての条件です)
15=3×5なので、5の倍数で、素因数に3を含まない整数を考えます。
5,10,20,25,35,40……
どこまでも行ってしまいます。
ここで、Dについて考えてみると、Dは、20との最大公約数がEとなる整数です。
Eは20の約数ですから、20以下です。
よって、Eの可能性としては、5,10,20しかありません。20で止まります。
E=5の場合。
D=5,15,25,35,45
E=10の場合。
D=10,30,50
E=20の場合。
D=20,40
答え、5,10,15,20,25,30,35,40,45,50
場合分けが多岐にわたる難問(煩問)です。手間がかかります。
大問6「規則性」
(1)「縦に4個、横に6個」ということは、4と6の最大公約数2で割って、「縦に2個、横に3個」のものを、2つつないだのと、同じことです。
「縦に2個、横に3個」の場合は、問題文に書いてある通り、4個です。
4×2=8個(答え)
(2)「縦にA個、横にB個」(AとBは互いに素)の場合、対角線が通る正方形の個数は、
A+B-1
です(公式)。理由は、授業で説明します。
A+B-1=19のとき、A+B=20です。
(A,B)の組み合わせは、(1,19)(3,17)(7,13)(9,11)(11,9)(13,7)(17,3)(19,1)
よって、並べる正方形の個数は、
(後半の4個も、積は同じ。)
以上は、ABが互いに素の場合。
ABが互いに素ではない場合、ABの最大公約数でABを割り、小さな長方形に分割し、後で、それらを、つなぎ合わせることになります。
19=1×19
よって、つなぎ合わせる場合、「縦にに1個、横に1個」の長方形(正方形)を19個つなぎ合わせるしか、ありません。
この場合、A=B=19
よって、並べる正方形の個数は、
以上より、並べる正方形の個数は5通り(答え)
難問です。
学校公表の受験者平均点は、100点満点で、本科68.0点、インターSG69.7点。
合格者平均点は、本科82.0点、インターSG84.6点。
かなりの高得点レースです。
小問単位で19問ありますから、16問できて合格者平均点、14問できて、ぎりぎり合格最低点、ぐらいのペースになります。
時間のかかる問題、難しい問題は、大問4(2)(3)、大問5(3)、大問6(2)です。
合格のためには、これらの問題以外、全問正解したいところです。
そのための対策です。
「広尾学園中学の算数」でもご説明している通り、まず、塾のテキストに出ている定番問題について、、マスターする必要があります。
大問1、2は、これで満点です。
大問3(1)、大問4(1)、大問5(1)(2)、大問6(1)も、満点です。
大問3(2)(3)は、多少、応用力が必要です。ここは、算数の発想法が必要になってきます。
これだけでも、合格できますが、もう少し余裕をもって合格したい、さらに上を目指したい、ということであれば、「場合分け」の練習が効果的です。
「難問」に属する問題は、「場合分け」が難しくなっています。
解説の場合分けが、どのような視点に基づいているか、日頃からよく観察しましょう。
(青い文字をタップ、クリック) |
広尾学園の算数・トップ |
広尾学園 入試報告会レポート |
広尾学園 算数 対策 2023年 |
広尾学園 算数 対策 2022年 |
広尾学園 算数 対策 2021年 |
広尾学園 算数 対策 2020年 |