というご相談を、よく受けます。
理科の勉強は、暗記部分と理解部分、計算部分が混ざっていて、苦手パターンも、一通りではありません。
個別に、対策が必要です。
基本的には、がんばって覚えるしかありません。
でも、なるべく効率的な方法で、覚えたいものです。
1、ダジャレ
たとえば、牛飼い座の1等星をアルクトゥルスというのは、なぜでしょうか?
多分、何かの由来はあるのでしょう。
でも、この手の知識を1つ1つ調べていたら、とても時間が足りません。
「牛が歩くと、うるさい」→「アルクトウルサイ」→「アルクトゥルス」
と覚える方が、はやいです。
わし座の1等星のアルタイルは、どうやって覚えましょうか?
「私は、いる。あなたは、いる?」→「わしは、いる。あんたは、いる?」→「わしは、いる。アンタイル?」→「わし座は、アルタイル」
はくちょう座の1等星は「デネブ」。
バレエ「白鳥の湖」の名場面に、「瀕死(ひんし)の白鳥」というのがあるそうです。
なぜ、死にかかっているのかというと、
「太りすぎ!」
(いいえ、ちがいます)
2、項目に注意する
たとえば、タンポポの花粉は、虫を媒介として運ばれます(虫ばい花)。
そして、種子は、風によって運ばれます(風散布)。
すると、何が起きるでしょうか?
まず、種子の運ばれ方の問題で「虫ばい花」と答えて間違えます。(正解は、風散布)
「タンポポは風、タンポポは風……」と覚えたあと、今度は、受粉の問題で「風ばい花」と答えて、また間違えます。(正解は、虫ばい花)
「タンポポは虫、タンポポは虫……」と覚えなおし、次に種子の運ばれ方の問題で「虫ばい花」と答えて、またまた間違えます。(正解は、風散布)
この無限循環を断ち切るには、どうしたらよいでしょうか?
覚えるとき、「タンポポ」という、おおざっぱな覚え方をしていることに、原因があります。
と、項目を確認しながら覚えれば、間違えません。
もし、項目があいまいなまま覚えて、間違えても、そこがチャンスになります。
「受粉の話と、種子散布の話をごっちゃにしていたのは、浅はかだった。これを機会に、他の植物についても、整理しなおそう」
と考えて、それ以上のミスを未然に防ぐことができます。
3、まずは問題から入る
テストには、よく出る問題と、それほど出ない問題があります。
ですから、テキストの問題演習になっている部分から覚える方が、効率的です。
しかも、クイズ形式で、思い出せなかった部分を覚える方が、問題意識が強い分、記憶にも残ります。
テキストだけ何度も読み返しても、効率が悪いでしょう。
算数は得意なのに、理科の計算問題を苦手としている人が、けっこういます。
イメージ的には、似ている分野のようですが……
どこが違うのでしょうか?
算数というのは、人間の脳が「論理的」と考えることがらをベースにして、組み立てられた体系です。
ですから、算数には、原則として、すべて「理由」があります。
教わっていないことでも、きちんとした理由、論理に基づいて推論していけば、正解をゲットできます。
これに対して、理科(サイエンス)、大自然、宇宙は、人間の脳とは関係なく、できています。
理科で、「公式」となっているものも、「なぜ、そのような式が成り立つのか?」は、必ずしも説明できません。
としか、説明のしようがないものも、多数あります。
算数が得意だと、理科の公式でも理由を考えてしまい、
「さっぱりわからない」
となりかねません。
もう一つ、小学校・理科が、算数と異なる面があります。
小学校・理科では、
「細かい矛盾には目をつぶり、まず、おおよそのイメージを教える」
という傾向が、強くあります。
いきなり精密なことを教えると、かえって混乱するから、という、教育的配慮でしょう。
たとえば、「太陽」の分野。
という説明が、一般的です。
これなどは、算数(立体図形)の得意な子には、到底、受け入れられない説明ではないでしょうか?
太陽が真西に沈むとき、棒の影は、棒の「付け根」から真東に向かって、伸びるはずです。
この時、棒より北側の位置に影の先端がくるというのは、重大な矛盾です。
さらには、春分、秋分の日に、太陽が真東から上り、真西に沈むというのも、
「この日は、地球が自転だけして、公転はしない」
という仮定のもとの話です。
実際には、太陽が真東から上った日には、その後12時間で0.5度くらい「公転」するので、真西には沈まないでしょう。
難しい数学の計算を使わなくても、算数の論理的思考力があると、小学校・理科のアバウトさが気になって、苦手意識が強くなってしまいます。
「テキストがおかしいのか?それとも、こっちの頭がおかしいのか?」
と悩んで、悶々とするかもしれません。
そのような場合、たいていは、テキストの説明が、おおざっぱなのです。
でも、だからといって、「どうせ不正確なのだから、全部暗記」というのも、考えもの。
たとえば、
というのは、算数の範囲で説明できます。
塾のテキストでは、説明を省略しているかもしれませんが。
以上まとめると、理科では、
という、3種類の場面を、適切に区別することが、大切です。