算数の試験終了まで、残り10分。
受験生の状況は、どのようなものでしょうか?
計算問題や、序盤、中盤の問題は、ほぼ手をつけ終わり、終盤の難しい応用問題が、何問か残っているかもしれません。
あるいは、計算問題は出題しない、大問1から、いきなり応用問題、という入試問題もあります。
その場合は、各応用問題の(1)(2)はできて、難しい(3)が残っているかもしれません。
いずれにしても、難問ばかりが残り、今後、試験終了までに、大幅な得点アップは、あまり期待できない。
でも、10分間は、それほど短いわけでもない……
あなたなら、どうしますか?
私が中学受験をしたときにご指導いただいた塾の先生(東大卒です)は、東大受験のとき、試験中に不合格を確信し、最後の10分間で、浪人1年間の勉強計画を立てたそうです。
(結局、この先生は、現役合格なさいました)
でも、試験時間は、「反省する時間」ではありません。(気持ちは100%わかりますが……)
得点を最大にするための時間です。
よって、当然ながら
の、いずれかの道を選ぶことになります。
ところで、まだ解けていない問題に取り組むには、ある程度「成算」が必要です。
「もう少し考えれば、何とかなりそう」
という感覚です。
この感覚を身につけるには、日頃から時間を測って問題を解き、体内にデータを蓄積する必要があります。
など、日頃から、様々な感覚を味わっていると、難問に踏み込んでも大丈夫か否か、大体わかるようになります。
ただし、日頃から「捨て問」にも挑戦しているわけですから、勉強の効率が悪くなります。
勉強時間ばかりかかって、結局身につかない「捨て問」を、1問経験する間に、「実力適正問題」を3問解く方が、「問題を解く力」はつくでしょう。
日頃の勉強で、このバランスをどのように取るか?
難しいところです。
さて、難問は捨てて、すでに解き終わった問題の見直しに入る場合、どのように見直すかというのも、一筋縄ではいきません。
なぜならば、「ミス」というのは、偶然起きているようで、実は結構「機械的に」「起きるべくして」起きているからです。
計算問題の直しをしているとき、何度やり直しても、同じ答えになり、なかなか正解にたどり着けなかった経験はないでしょうか?
私は何度もあります。
「この解答、絶対間違っている」
と、かんしゃくを起こし、解答冊子を破ってしまった人もいます。(私です)
つまり、見直しをしても、前と同じように間違え、ちっとも直らない可能性が、結構高いのです。
1回目に「+」を「-」にして間違えた問題は、何回解き直しても「-」にしてしまう……といったことは、よくあります。(慣性の法則)
このようなドツボから抜け出すには、見直しの時、脳に異なる刺激を加える、すなわち、違う論理で解いてみる、といった工夫もあります。
「そんなの無理。解き方は1種類しか思いつかない」
ということであれば、後で見直すことを前提に、1回目から見直しやすいような書き方を心がける、という工夫が必要です。
「計算は、順序どおり、後で読める字で書く。暗算は避ける。証拠を残す。」
といったことです。
問題文の余白に、夢中でなぐり書きすると、後で見直すとき、自分でもどこに何を書いたのか、わけがわからなくなり、結局もう1回解くのと同じことになってしまいます。
でも、後で検証可能な書き方を、本番だけ実行しようとしても、無理です。
普段の勉強の中で、習慣化しておかなければなりません。
さらに、見直しをした結果、1回目とは異なる答えが出てきてしまったら、どうしましょうか?
せっかく見直したのだから、2回目の答えを優先しますか?
2回目の方が正しい保証は、どこにありますか?
ありません。
そこで、3回目に入ります。
「多数決の原理」を適用する作戦ですね。
でも、こうなってしまうと、もう頭にカーっと血がのぼって、3回目も「第3の答え」が出てくる確率が上がります。
群雄割拠。
過半数を制するのは、困難でしょう。
というわけで、見直しの技術も、事前に、色々考えておくことがあるのです。
ここまでお読みいただいて、おわかりのことと思いますが、中学受験・算数は、純粋な学力テストではありません。
ある種のスポーツ。
ゲームセンスも重要です。
日頃から、ゲームプランを練り、センスを磨いておきましょう。
関連ページへのリンク | |
(青い文字をタップ、クリック) | |
1 |
算数の成績を上げるには? |
2 | パターン暗記のジレンマ |
3 | 出題傾向の突然の変化に備えて |
4 | 自分流か?塾流か? |
5 | ラスト10分!何をするか? |
6 | 成績上がってる?下がってる? |
7 | 「できろ命令」の話 |
8 | 「つるかめ算」の話 |
9 | 自分で考えるのは何分間? |
10 | 数字替え問題を解く意味は? |
11 | 使える計算力、使えない計算力 |
12 | 公式を自在にあやつるコツ |
13 | 最近、ミスが増えた?の原因 |
14 | 「ニュートン算」の話 |
15 | 比の用心 |
16 | 完璧主義か?最大化主義か? |
17 | 和分解の話 |
18 | 新宿西口のハトに学ぶ、「規則性発見のコツ」 |
19 | なぜ、うちの子の偏差値は○○なのに、あの子は□□なのか? |