「できろ」命令とは、現場の事情を知らない経営陣が、IT部門に対して発する、具体性を伴わない無茶な命令のことです。
野村総合研究所(NRI)理事、楠真(くすのき・しん)先生の造語です。
「できろ」命令のために、会社のIT部門が大混乱に陥り、何十億円もかけたプロジェクトが、大失敗に終わることもあるそうです。
何か、思い当たるフシがありますよね。
耳が痛いかもしれません。
そう、塾の先生や親が、子供に対して発する、
「どうして、こんな問題もできないんですかっ(怒怒怒……)」
という言葉が、「できろ」命令です。
どうすればできるようになるか、具体的な指示がありません。
このように言うと、「できろ」命令は、何か高圧的なもの、という印象を受けるかもしれませんが、もっとソフトな「できろ」命令もあります。
「問題文をよく読んでください」
というアドバイスです。
問題文ぐらい、誰でも読んでいます。あるいは、読んだつもりになっています。
でも、具体的に、どこをどう読めばいいのかわからないから、読んでいないのと同じ結果になっているのです。
具体的なアドバイスなしに、ただ「よく読みなさい」といっても、子供を傷つけるだけです。
「とにかく、手を動かしてください」
というアドバイスも、「できろ」命令の一種です。
手が動くのは、解き方がわかっているからです。
脳が手を動かしているのであって、手が脳を動かしているわけではありません。
それを、「とにかく手を動かして」と言われても、言われた子は、どうにもなりません。
「この家庭教師は、犬がしっぽを振っているのか、しっぽが犬を振っているのか、わかっていないんじゃないの」
ということになります。
このように、受験界にも「できろ」命令が横行しています。
「できろ」命令が最もひんぱんに発令されるのは、やはり、計算ミスに対してではないでしょうか。
「計算問題くらい、できて当然」
と思われているからですね。
日々の計算練習、たとえばサピックス基礎トレ②番などは、間違えるのを「日課」にしている子も多く、親としては、ブチ切れやすいようです。
この計算ミスを防ぐ最も確実な方法は、計算しないこと、すなわち「基礎トレをサボること」で、言われなくても多くの子が実行していますが、いけません。
かといって、あまり厳しいと、基礎トレをトイレの中でやるようになり、「日々これ満点」となりますが、解答まる写しでは実力はつきません。
計算ミスにもパターンがあるので、それを見つけ出し、具体的な指摘をすることで、ミスを減らしていきましょう。
レッツ算数教室では、「できろ」命令を排除し、具体的なアドバイスを心がけています。
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