平常授業をこなしながらのマンスリー対策、大変ですよね。
しかも、せっかくマンスリーでコツコツとクラスを上げても、組分けでド~ンと落ちては、元も子もありません。
「サピックス先生、ごめんなさい。組み分け、休んじゃおうかな?」
悪魔のささやきが、聞こえてきます……
そんなあなたのために、
効率よくマンスリーを乗り切り、その勉強を組み分けにも生かす方法
を、ご案内します。
マンスリーは、ほとんどの問題が、基礎トレとデイサピから出題されると言われています。
これさえおぼえてしまえば、110点くらい取れて、偏差値60!
これでうちの子もアルファ……
な~んて皮算用をしていたら、
「やり残しがたくさん出てしまいました」
「3週間前にはできていた問題が、久しぶりに解いたらあやふやで、解き直しに予想外の時間がかかってしまいました」
計画は絵に描いた餅と化し、今回のマンスリーは失敗。
そこで、次回は、ち密な計画を立てます。
名づけて、「しぼり込み反復法」
マンスリーの2週間前から、テスト範囲の問題を古い順に解き直し、苦戦した問題や、わからなかった問題に印をつけておきます。(しぼりこみ)
これらを、直前1週間で反復して、頭にパンパンに詰め込み、マンスリーの解答用紙にドサッと落としてくる……
ドヤ!
テストが終わり、期待に胸おどらせながら蓋(ふた)を開けてみると……
前回より多少はできた気がするけれど、これでは全然、全然、不満!
大不満!!
「どうしてもっと取れないの?」
子供にたずねると、
「だって、こんな問題、教わってないもん」
と、まさかのお言葉。
え~っっっ!!!
マンスリーは数字替えが出題されるんじゃないの?
もう忘れちゃったの?
急いでデイサピ様を引っぱり出してきて、バトルの裁定を仰ぐと、確かに、問題文の表現や条件が少し違う。
でも、ほんのちょっとなのに……
偏差値60が、蜃気楼(しんきろう)のように、遠ざかっていきます。
デイリーチェックは全問、数字替えです。
でも、マンスリーは、数字替えだけではありません。
その結果、デイリーチェックで満点を連発していながら、マンスリーでは偏差値50取れない子が出てきます。
この傾向は、学年が進むにつれ、顕著になっていきます。
確かに、大人の目線からみると、マンスリーは大部分が数字替え問題でうめ尽くされています。
でも、本当に小学生を理解している受験指導者(たとえば、サピの出題担当の先生)には、デイリーチェックとマンスリーの間に横たわる段差が見えています。
この段差は、しぼり込み反復法で乗り越えることができません。
パターン暗記で乗り越えることができません。
段差を乗り越えるには、教わった解法の意味を、よく理解している必要があるのです。
「しぼり込み反復法」によって偏差値60を取っているように見える子は、実は、きちんと理解が伴っているのです。
ところが、サピックス生の8割は、教わった解法を十分理解することなく、タイミングのよい効率的な反復によって、知識を一時的に定着させてしまっているのです。
全く理解していないわけではありませんが、応用するには不十分なのです。
しかも、その知識は、解答用紙にドサッと落とす結果、頭に残りません。
でも、こうなってしまうのも、仕方がない面があります。
解法知識は、次から次へと押し寄せてきます。
そして、数字替え問題は解けているので、十分理解していない事実が覆い隠されてしまい、わかったつもりになってしまうのです。
マンスリーの目的の1つが、解法知識の定着にあることは、確かです。
問題は、いかに
おぼえるか、です。
記憶には、2つの性質があります。
しぼり込み反復法は、反復を利用して知識を定着させる効率的な技術で、暗記科目では、絶大な効果を発揮しますが、算数では微妙です。
それに対し、理解によって知識を定着させる方法は、応用力がつき、組み分け対策にも有効ですが、短期的には非効率的です。
理解しなければ先に進まない、という勉強方法では、目先のマンスリーに間に合わない。
それに、数字替え問題が解けている以上、理解しているのか、いないのか、区別すらつかない。
どちらの方法が適切でしょうか?
選択にあたっては、そもそもマンスリーの目的がどこにあるのかを、再確認しておく必要があります。
サピックスがなぜ、
「マンスリー約3回+組分け1回」
というシステムを採用しているのか、考えてみましょう。
サピックスは生徒を、組分け(実力テスト)の結果で評価しています。
なぜなら、入試本番は、出題範囲が無制限で、組分けタイプだからです。
(注:6年生後半からのマンスリー「実力」テストも、組分けタイプです。)
極度に緊張する中、厳しい条件で臨まなければなりません。
その予行演習が、組分けテストです。
組分けの結果が、入試の結果を暗示します。
でも、組分けで試される思考力が変化するには、時間がかかります。
思考力のもととなる基礎知識も、それなりの分量をマスターしなければなりませんし。
そこで、組分けは4か月に1回ぐらいがちょうど良い、という判断になります。
でも、4か月間、何のクラス昇降もないと、気が緩みがちになるし、勉強が順調にはかどっているか、わかりません。
「勉強、してますか?ちょっと確認しますよ」
これが、マンスリー「確認」テストです。
「算数の勉強は、解法知識の詰め込みではありませんよ。
知識の習得を通じて、思考力を養成することです。(サピックス・ホームページ→合格メソッド参照)
だから、平常授業の復習では、あせらずじっくり理解して下さいね。
万が一、マンスリーに間に合わなくても、クラスが大きく下がることがないように、保証しますから。」
マンスリーに、クラス昇降の制限がかかっているのは、このためです。
あせらずじっくり理解に努め、思考力を養成すること
これが、超難関校に驚異の合格実績を誇る、サピックス・メソッドの神髄です。
偏差値60超のアルファの子供たちは、これが出来ています。
このように見てくると、
という分類が、適切ではないことが、おわかりいただけると思います。
マンスリー対策では、組分けを見すえて、理解力、思考力の養成にも励みましょう。
理解力、思考力がつけば、反復につぐ反復に頼らずとも、解法知識の定着が良くなり、結局、コスパ最強です。
それに、理解力、思考力が伴っていないと、せっかくマンスリーでクラスが上がっても、組分けで下がってしまいます。
ただ、理解力、思考力に重点をおく勉強法は、軌道にのるまで、数か月かかります。
具体的には、マンスリー数回分の結果をふり返りながら、PDCAサイクルを回し続けることになります。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(測定)→Action(改善)→Plan……です。
サイクルを回しながら、お子様に必要なことを探り出し、
を、くり返します。
ここが、我慢のしどころ。
その間、上位クラスを獲得、維持して、モチベーションを保つために、一時的な暗記も、やむを得ないとは思います。
今月も、マンスリーの結果が出ました。
あなたは、「テスト直し」だけで、すませていませんか?