目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~4) |
「対策」 |
(1)入試結果
開成2022年・算数は、極端に難しくも易しくもなく、ほぼ例年並みの結果となりました。
受験者平均点 | 合格者平均点 | |
2022年 | 50.7 | 60.7 |
2021年 | 45.8 | 55.8 |
2020年 | 38.6 | 49.5 |
2019年 | 51.0 | 64.6 |
2018年 | 62.0 | 73.9 |
(開成中学ホームページより引用・算数85点満点)
(2)出題分野
「立体図形」「場合の数」「速さ・時計算」を中心に出題されています。
大問1の小問群では、「数の性質」「平面図形」も出題されています。
全体的に計算が煩雑で、作業量が多く、しかも、工夫の余地があります。
「効率化の工夫」が、隠れたテーマ、隠れた出題分野とも言えます。
また、
は、ほとんど出題されていません。
逆に、
が大きなウエイトを占めています。本年度は、
「カンより論理」です。
このあたり、超難関校の間でも、微妙に傾向が分かれているところです。
(3)難易度
昨年度(2021年)に比べると、かなり易しくなったという印象なのですが、その割には、平均点が伸びなかった感があります。
原因はいくつか考えられます。
などです。
具体的には、「各論」の解説の中で、ご説明します。
出題分野&難易度マップを掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算の工夫 | B |
(2) | 数の性質 | B |
(3) | 場合の数 | D |
(4)① | 平面図形 | B |
(4)② | 平面図形 | D |
大問2 | ||
(1) | 立体図形 | C |
(2) | 立体図形 | C |
大問3 | ||
(1) | 場合の数 | B |
(2)(ア) | 場合の数 | B |
(2)(イ) | 場合の数 | B |
(2)(ウ) | 場合の数 | E |
(3)(ア) | 場合の数・規則性 | B |
(3)(イ) | 場合の数・規則性 | D |
(3)(ウ) | 場合の・規則性 | E |
大問4 | ||
(1) | 速さ・時計算 | C |
(2) | 速さ・時計算 | D |
(3) | 速さ・時計算 | E |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1(1)「計算の工夫」
2.02と5.05が、ともに1.01の倍数であることを利用します。
両辺を1.01で割ると
2÷( )=5×2.8
( )=2/14=1/7
□=(2/3-1/7)×21/8=11/21×21/8=11/8
よって、1と3/8(答)
大問1(2)「数の性質」
すべての整数が、「1,2,3,4,5,6,7」を1回ずつ用いて表されています。
9で割ったときの余りは、各位の数の和を9で割ったときの余りと一致するので、すべて同じ。
(1+7)×7÷2=28
28÷9=3あまり1
1×5=5(答)
大問1(3)「場合の数」
「4の倍数」の性質は、通常、「下2ケタが4の倍数」と考えます。
とりわけ、前問が「9の倍数」の性質の関連問題だったため、その印象にとらわれやすかった可能性があります。
そこで、下2ケタが00、04、08、12、16……と考えると、ドツボです。
4の倍数であるためには、素因数としての2が2個以上含まれていることが必要であり、それで十分です。
そこで、素因数としての2が2個の場合、3個の場合……最大8個の場合、と追いかけ始めると、これもまたドツボです。
問題文が「目の出方は全部で1296通り」と、誰でもわかることを「あえて」明らかにしていることに注目します。
「これは、全体から不都合なものを除きなさい」
と言っているようなもの。
つまり、素因数としての2が0個の場合、1個の場合を除けばよいわけです。
・0個の場合
全員が1、3、5のいずれかの場合です。
3×3×3×3=81通り
・1個の場合
1人が2または6。残りの3人が1、3、5の場合です。
(2×3×3×3)×4=216通り
よって、81+216=297
1296-297=999通り(答)
大問1(4)平面図形
① まず、ロープの長さを式で表します
20×3.14÷2=10×3.14
「比の値」がわかればよいので、計算はしないで、式で表すにとどめておくのが、効率的です。
半径が3.14倍、中心角が1/2倍になっているので、面積は
3.14×3.14×1/2=4.9298倍(答)
② 今度はロープの長さが必要です
10×3.14=31.4、
角オ=180×(9.577/31.4)
ここで、180×9.577÷31.4をゴリゴリ計算してもよいのですが、なるべく小さい数のまま計算したい。
そこで、9577が素数かどうか、約分できないか、確認しましょう。
もし、約分できるとすれば、314÷2=157で割り切れるはず。
9577÷157=61
よって、
角オ=180×(61/200)=54.9度(答)
一般に、開成の計算は、ひたすら作業量が多い傾向にあります。
でも、ここまで解いてみて、
「今年は工夫の余地が、かなりありそうだ」
という、傾向の変化が感じられます。
大問2「立体図形」
(1)だけ解くならば、bとdだけ考えればよいのですが、(2)にも目を通しておくと、結局a、b、c、dすべてが必要です。
それならば、いっそのこと、全部まとめて一覧表を作ってしまうのが、効率的です。
その際、「比」がわかれば良いことに注目すると、3.14倍はしないこと、当然です。
相似比p:qならば、
面積比はp×p:q×q
体積比はp×p×p:q×q×q
また、
円すいの側面積=母線×半径×円周率
です。これらを使い、まとめます。
体積 | 底面積 | 側面積 | |
a | 1 | 1 | 2 |
b | 7 | 4 | 6 |
c | 19 | 9 | 10 |
d | 37 | 16 | 14 |
(1)
体積の比
➡7:37(答)
表面積の比
➡(1+4+6):(9+16+14)=11:39(答)
(2)
体積の比
➡(1+19):(7+37)=20:44=5:11(答)
表面積の比
➡(4-1+9+2+10):(1+9-4+16+6+14)=24:42=4:7(答)
(2)で、立体Yの表面積を求める際、上から見たときの面積に、注意が必要です。
多くの中学入試問題は、円柱の上に小さな円柱をのせるので、上から見た時の表面積は、大きな円柱の上部と同じになります。
ところが、本問Yは、bの上の面積と下の面積が異なるため、上から見ると、ドーナツのような形に見えます。
ここが、ミスしやすいポイントです。
大問3「場合の数」
(1)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
よって、最大7か所、2種類(答)
(2)(ア)
2列目のぬり方が2通り、4~7列目のぬり方は、(1)の要領から2通りなので、2×2=4通りあります。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
(2)(イ)
1~2列目、4列目、6~7列目の3ブロックに分かれます。
それぞれのブロックが、上タイプ、下タイプの2通りに分かれること、すでに経験済みです。
2×2×2=8通り(答)
(2)(ウ)
5か所ぬりつぶすにあたり、同じ番号の列に2か所ぬることはできないので、5列必要です。
よって、ぬらない列を2か所選ぶことになります。
その選び方によって、ぬる列が1ブロックの場合、2ブロックに分かれる場合、3ブロックに分かれる場合、があります。
1ブロックの場合、ぬり方は2通りで、1ブロックになるパターンが3パターンあるので、2×3=6種類。
2ブロックの場合、ぬり方は4通りで、2ブロックになるパターンが12パターンあるので、4×12=48種類。
3ブロックの場合、ぬり方は8通りで、3ブロックになるパターンが6通りあるので、8×6=48種類。
合計6+48+48=102種類(答)
(3)(ア)
(3)(イ)(ウ)
[図2]の3パターンを左から順に、X、Y、Zとします。
Xは、すべてのパターンの右側に、つなげることができます。
よって、右端の列がXで終わるぬり方は、前列のX、Y、Zすべての個数の合計になります。
Yは、X、Zの右側に、つなげることができます。
よって、右端の列がYで終わるぬり方は、前列のX、Zの個数の合計になります。
Zは、X、Yの右側に、つなげることができます。
よって、右端の列がZで終わるぬり方は、前列のX、Yの個数の合計になります。
以上を踏まえて、表を作ると、以下のようになります。
1列 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
X | 1 | 3 | 7 | 17 | 41 | 99 | 239 |
Y | 1 | 2 | 5 | 12 | 29 | 70 | 169 |
Z | 1 | 2 | 5 | 12 | 29 | 70 | 169 |
計 | 3 | 7 | 17 | 41 | 99 | 239 | 577 |
よって、3列目までは17種類、7列目までは577種類(答)
大問4「速さ・時計算」
本問は、「狂った時計」などの呼び名で知られる時計算と、微妙に異なります。
通常、狂った時計は、1時間に3分遅れるなどします。
そこで、針の進む速さについて、正しい時計との比を求めることによって、解くことができます。
ところが、本問の狂った時計は、つねに正しい時刻より5分遅れます。
針の進む速さは、等しいのです。
ここでミスすると、大混乱が始まります。
さて、意味を正確に把握できると、次のことがわかります。
これをもとに、解き進めます。
(1)
60÷(6-0.5)=10と10/11
よって、1時10と10/11分(答)
(2)
aが先に0度になり、そこから大きくなり始めます。
その時、小さくなってきたbと等しくなる時刻を求めます。
30+5.5×5=57.5……はじめのb
57.5-5.5×□=5.5×□-30
□=7と21/22
1時7と21/22分(答)
(3)
a+b+2.5=30、a:b=2:1
よって、a=(30-2.5)÷3=55/6
(57.5-55/6)÷5.5=290/33……A
開成君の時計の長針と正しい時計の短針の角度を□とすると、
2.5+□:30+□=1:2、□=25
(60+25)÷5.5=170/11……B
170/11-290/33=6分40秒(答)
・本年度は、作業量、計算量が多く、時間不足で不合格になった方が多かったのではないかと、推察します。
このような問題は、いかに効率的に解けば良いのでしょうか?
ここで、小問相互の関係が、重要になってきます。
大問の中が、いくつかの小問に分かれている場合、小問(1)をヒントに(2)を解き、(2)をヒントに(3)を解く、という関係が見られることが、多々あります。
本年度では、大問2、大問3に、その傾向が顕著です。
そこで、小問(1)を解く前に、全ての小問に目を通し、出題者が全体として何をさせようとしているのか、題意を把握してしまうことが、効率化のために有効です。
たとえば、大問2では、(1)でb、dだけ求めるより、(2)もふまえてa、b、c、dの一覧表を作ってしまう方が、効率的です。(「各論」の解説参照)
大問3でも、最終的に(ウ)で何をきかれるか意識しながら、(ア)(イ)に取り組むと、(ア)(イ)を解きながら、(ウ)についても思考を巡らすことができて、効率的です。
ここでも、3列目までを根性で解いて、7列目を求める際に、ようやく一覧表を作り始めるより、最初から一覧表を作った方が早いでしょう。(「各論」の解説参照)
・大問4「時計算」では、長針同士、短針同士の角度が「一定」であることに、注目しました。
いわば、30度の大きい「Vの字」と、2.5度の小さい「vの字」が、それぞれ、分速6度と0.5度で回っているイメージです。
これは、
「変わらないものに注目する」
という、算数の発想法に基づいています。
大問1(3)では、「素因数としての2が2個以上8個以下」について調べるかわりに、「0個、1個」の場合を調べて、全体から引くという方法をとりました。
これは、
「裏から考える。裏口作戦!」
という、算数の発想法に基づいています。
大問3(3)では、暗号の種類を、前列のX、Y、Zの個数に対応させて、数えました。
これは、
「置き換えて考える」
という、算数の発想法に基づいています。
日頃から、解けた問題についても、算数の発想法を確認していると、必要なときに必要な発想法が、自然と浮かび上がって来るようになります。
レッツ算数教室の授業で、最も重視している部分です。
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