慶應中等部 算数 対策 2025年


目次
「傾向」 
1、概要
(1)出題分野
(2)難易度
2、各論(大問1~6)
「対策」

傾向

1、概要

(2)出題分野

 

設問数が多く、はば広く出題されています。

 

その中にあって、立体図形・回転体などは、毎年のように出題されています。

 

(3)難易度

 

偏差値が高い学校ですが、ほとんどの問題は、中学入試問題としては、標準的です。

 

ただし、最後の1問だけは、非常に難しい問題が出題されています。

 

「出題分野&難易度マップ」を掲載いたします。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)

 

Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。

 

   出題分野&難易度マップ
大問1    
(1) 計算
(2)  計算 
(3)  数の性質 
(4)  場合の数 
(5)  数の性質・約数の和 
大問2     
(1)  割合・相当算 
(2)  速さ・比 
(3)  割合・倍数算 
(4)  ニュートン算 
(5)  比 
大問3     
(1)  平面図形・角度 
(2) 

平面図形・面積 

(3)  平面図形 
(4)  立体図形・回転体 
大問4     
(1) 

立体図形・水そう 

(2)  立体図形・水そう 
大問5     
(1)  論理推理・選挙 
(2)  論理推理・選挙 
(3)  論理推理・選挙 
大問6     
(1) 数の性質
(2) 数の性質

それでは順に見ていきましょう。


大問1

 

(1)から(4)までは、基本問題です。

 

(5)「数の性質・約数の和」は、もともと高校数学の公式ですが、近年の中学受験では、必須の知識となっています。


大問2

 

「割合」「比」を使う小問群です。

 

大問1より若干レベルアップしていますが、いずれも基本問題です。


大問3

 

定番の図形問題が並んでいます。

 

(1)は、正方形の対角線を軸として、線対称(合同)な三角形が見つかればOKです。

 

(4)の回転体は、毎年繰り返し出題されています。


大問4「立体図形・水そう」

 

本問も基本問題です。

 

(2)は、多少、応用問題です。

 

本来、Bの部分は16÷8=2分で高さ5cmになるはずですが、3分かかっていることから、この途中で水を入れるペースが変わったとわかります。


大問5「論理推理・選挙」

 

有名な「選挙・当選確実問題」です。

 

初見だと、かなり難しいのですが、(3)まで含め、すべて典型問題の数字替えです。

 

よって、しっかり準備してあれば、全問正解できます。


大問6「数の性質」

 

(1)

 

□×□=2809

 

□=53(答え)

 

(2)

 

本問は、

  1. 理論でスマートに解く
  2. 根性で、1~100まですべて調べる

の2通りの解法があります。

 

1、理論で解く場合

 

ガウス-ルジャンドルの定理(三平方和定理)

 

を使うことになります。

 

("三平方の定理=ピタゴラスの定理"とは、別の定理です)

 

この定理は

 

「以下の整数を除く全ての整数は、3個の平方数の和で表すことができる」

  • 8で割ると、余りが7の整数…①
  • ①の整数を4倍、16倍、64倍……すなわち4のn乗倍した整数

という内容です。

 

本問にこの定理を当てはめると、

 

8で割ると余りが7の整数は、7、15、23、31……95の12個

 

これらを4倍して100以内の整数は、7×4=28、15×4=60、23×4=92の3個

 

7×16=112>100なので、終了

 

よって、12+3=15個(答え)

 

本問は、「表すことができない」方が問われているので、15個です。

 

間違えて、100-15=85個としないように気をつけましょう。

 

さて、この定理の証明ですが、もちろん、中学受験算数の範囲を大きく越えています。

 

高校数学(数学的帰納法)を使えば、

 

「これらの整数が3個の平方数の和で表せない」

 

ということまでは証明できます。(必要条件)

 

でも、逆に、

 

「これら以外の整数なら、必ず3個の平方数の和で表せる」

 

という証明(十分条件)は、高校数学の範囲も大きく越えています。

 

というわけで、ガウス-ルジャンドルの定理の証明は、数学の専門書にお任せしますが、ここでは、

 

「今後の中学受験算数に役立つ範囲」

 

で、証明の"さわり"の部分を、ご説明します。

 

まず、8で割って余りが1の整数を2回かけると、8で割って余りが1の平方数になります。

 

これは、一辺の長さが「8の倍数+1」の正方形をかき、4つの長方形に分割すれば、わかります。

 

たとえば、一辺の長さが9の場合、4つの長方形とは、

  • 8×8=64
  • 1×8=8
  • 8×1=8
  • 1×1=1

です。

 

1×1=1の部分が、8で割ったときの余りになります。

 

8で割って余りが2の整数を2回かけると、8で割った余りが2×2=4の平方数になります。

 

以下、同様

  • 3×3=9→あまり1
  • 4×4=16→あまり0
  • 5×5=25→あまり1
  • 6×6=36→あまり4
  • 7×7=49→あまり1
  • 0×0=0→あまり0

となります。

 

つまり、平方数を8で割ったときの余りは、「1、4、0」の3種類しかありません。

 

これら、3種類の整数を3個、重複を許して足し合わせると

0+0+0=0

0+0+1=1

0+1+1=2

1+1+1=3

0+0+4=4

0+1+4=5

1+1+4=6

となり、余り0~6までは、全て作ることができますが、余り7だけは、(3個では)どうやっても無理です。

 

そこで、

 

「8で割ると余りが7の整数は、3個の平方数の和で表すことができない」

 

という法則が導かれます。

 

ここまでは、中学受験算数の範囲で証明できました。

 

(もっとも、この法則や証明を、入試本番で、自分自身で思いつくのは、厳しいでしょう)

 

さて、次は、これらを4倍した整数が、なぜ3個の平方数の和で表せないのか?という証明に移ります。

 

7×4=28を例にとって、説明しましょう。

 

仮に28が3個の平方数の和で表すことができるとします。(仮定)

 

すると、以下のような矛盾が起きます。(だから、仮定が間違っているのです)

 

28=○×○+□×□+△×△

 

ここで、28は7を4倍したのだから、必ず4の倍数(偶数)です。

 

すると、「○×○」、「□×□」、「△×△」は、それぞれ、

  • 偶数、偶数、偶数(パターン1)
  • 偶数、奇数、奇数(パターン2)

の、いずれかのパターンになります。(偶数、奇数の順序はどうでもよい)

 

なぜならば、奇数を奇数個足すと、全体は、奇数になってしまうからです。

 

全体の和が偶数28である以上、奇数は偶数個でなければなりません。

 

では、「○×○」が偶数だとすると、○は偶数でしょうか?奇数でしょうか?

 

答えは偶数です。

 

なぜならば、仮に○が奇数だとすると、○×○は奇数になってしまうからです。

 

ということは、「○×○」は、「偶数×偶数」なので、4の倍数です。

 

ここで、28は4の倍数であり、「○×○」も4の倍数なので、「□×□」+「△×△」も、4の倍数になります。

 

このとき、「□×□」と「△×△」がともに奇数ということがあるでしょうか?

 

ありません。

 

ともに偶数になります。

(つまり、パターン2はあり得ません)

 

なぜならば、仮に「□×□」が奇数のとき、□も奇数ですが、奇数□の平方数は、必ず4で割ると余り1となり、同様に「△×△」も4で割ると余り1となり、結果、「□×□」+「△×△」は4で割ると余りが2となり、4の倍数にならないからです。

 

よって、「□×□」も「△×△」も、「○×○」と同じく、偶数で、しかも4の倍数ということになります。

 

すると、

 

7

=28÷4

=「(○÷2)×(○÷2)」+「(□÷2)×(□÷2)」+「(△÷2)×(△÷2)」

 

(○も□も△も、いずれも偶数なので、2で割っても整数になります)

 

となり、7が3つの平方数の和で表せることになってしまいます。

 

これは矛盾なので、7が3個の平方数の和で表せないときは、7×4=28も3個の平方数の和で表せないということになります。

 

同様に

  • (7×4)×4
  • (7×4×4)×4
  • (7×4×4×4)×4
  • ……

も、3個の平方数の和で表せないことが、将棋倒しのようにわかります。

 

(この将棋倒しの部分が「数学的帰納法」で、高校数学です)

 

2、根性で調べる場合

 

お疲れ様です。

 

ただ、

  • 本年度は、他の問題がとても簡単で、時間がたっぷりあまっていること!
  • 小学生は、根性で調べるスピードが非常に速いこと!!

を考えると、それほど非現実的な解法ではありません。

 

その際は、25、36、49、64など、中ぐらいの大きさの平方数を2個組み合わせて、それを土台に残りの1個を積み上げていくと、多少は見つけやすくなります。

  • 25+25=50
  • 25+36=61
  • 25+49=74
  • 25+64=89
  • 36+36=72
  • ……

などです。

 

もちろん、捨て問にしても、全く問題ありません。

 

 

ちなみに、2025年度には、2025にちなんだ出題が多くなります。

 

確かに

 

2025=0×0+0×0+45×45

 

になっています。


対策


ポイント1


本年度は、大問6(1)を除く問題が、かなり易しかったため、高得点レースになったのではないかと推測します。

 

ミスなく、素早く解く競争です。

 

日頃から、手際よく解く方法を研究したり、ミスした時の原因分析や対処法をしっかり行いましょう。


ポイント2


最後の1問(大問6(2))は、ガウス-ルジャンドルの定理を参考にした出題です。

 

もちろん、小学生がこのような定理の勉強をするよう、求めているわけではありません。

 

では、この問題から、何を学べばよいのでしょうか?

 

「傾向」の「2、各論」の中で、定理を使わない実戦的な解法もご紹介しています。

 

小学生が、本番で、初見で解く場合、根性で解くことが基本となりますが、その場合でも、ある程度規則的に場合分けして、モレや重複を防ぐことが大切です。

 

さらに、定理のさわりの部分をご紹介していますが、「数の性質」の問題として大切なものも含まれているので、そちらは、しっかり勉強しておきましょう。

 

どこかで役に立つ可能性が、十分にあります。


ポイント3


  • 大問1(5)「約数の和」
  • 大問5「選挙・当選確実問題」

の2問は、本来とても難しい問題で、算数が得意な人でも、本番で初見で得点するのは、大変です。

 

時間がかかり過ぎたり、そもそも全くわからないということになるでしょう。

 

でも、現代の中学受験界では、いずれも公式・解法が完備しています。

 

塾で教わったことを、コツコツマスターしていれば、確実に得点できます。

 

この「教わったことをコツコツマスターする能力」が、慶應中等部の合格には、とても重要です。

 

算数の才能に頼らない、地道な勉強の姿勢が、高く評価されます。





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