目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~4) |
「対策」 |
1、概要
(1)入試結果
駒場東邦2020年算数は、例年通りの出題傾向、難易度でした。
学校公表の受験者平均点は、120点満点中、74.0点(61.7%)。合格者平均点は84.0点(70.0%)。
(2)出題分野
「平面図形」「論理パズル」「数の性質」「速さと比」などから出題されています。
本年度は、「論理パズル」が、ウエイトを占めています。
「論理パズル」は、コツコツ場合分けするタイプ(大問1(4))と、直観的な判断を必要とするタイプ(大問4)が、出題されています。
(3)難易度
総合的には例年並みですが、内訳は易しい問題と難しい問題の色分けが、はっきりしています。
中間レベルの問題が少なかった、という印象です。
大問1の(1)~(4)①までと、大問2、大問3はかなり易しく、それ以外(論理パズル)は相当に難しいという構成になっています。
特に、大問4は、手も足も出なかった受験生が多かったのではないかと思われます。
そのわりには、受験者平均点と合格者平均点とで、大差(10点)がついています。
その原因は、
といったところではないかと思われます。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 平面図形・作図 | C |
(3) | 平面図形と比 | D |
(4)① | 論理パズル | C |
(4)② | 論理パズル | E |
大問2 | ||
(1) | 数の性質・練習 | C |
(2) | 数の性質 | D |
大問3 | ||
(1) | 平面図形 | B |
(2) | 平面図形 | C |
(3) | 速さと比 | D |
大問4 | ||
(1) | 論理パズル | E |
(2) | 論理パズル | E |
(3) | 論理パズル | E |
それでは、順に見ていきましょう。
2、各論(大問1~4)
大問1
(1)は計算問題。ウオーミングアップ問題です。
(2)は、コンパスで作図。コンパスの使い方は上手、下手があるかもしれません。コンパスの半径を正確に設定するのは、意外と難しいものです。
半径の設定が適切でないと、点Pが通るべき点を通らず、ズレてしまいます。
(3)は、平面図形と比。すべての比を辺AB上に集めて、「比合わせ」を利用します。
ここまで、定番問題ばかり。満点をめざしましょう。
(4)は、論理パズル。
まず、ABの和がわかり、次にCDの和がわかり……と、いもづる式にわかります。①は簡単です。
問題は②。ABの和、CDの和、EFの和、GHの和がそれぞれわかっていて、残りの数もわかっています。
でも、和を達成するための足し算の候補がそれぞれ複数あり、直ちには決定できません。
そこで、場合分けとなります。
「仮に○○だとすると……と、考えていきます。
「仮定して考える」という算数の発想法になります。
ただ、どの部分から仮定していくかによって、解ける人と、解けない人の違いが出てきます。
見当のつけ方に磨きをかけておきましょう。
大問2「数の性質」
(1)は練習です。(1)の内部でも、左が右の練習になっています。
すなわち、40÷2020=2÷101に気づけば、右の問題は、左の問題を利用して、暗算でも解けます。
(2)は、(1)を利用します。分母を101にして計算してから、元の2020に戻す、という方法を用います。
結局、本問は、101と2020の倍数関係に気づくかどうかが、決めてになります。
大問3
(1)(2)は、平面図形のサービス問題。4年生の問題としても、基本問題です。
(3)は、これに「速さと比」をからめます。
理論は単純ですが、計算を実行するのに、骨が折れます。
そこで、工夫します。
1コースと6コースとでは、直線部分の距離の比が4:3。たろう君とさぶろう君の速さの比も4:3。よって、時間の差はつきません。
1コースと3コースとでは、曲線部分の距離の比が1:1.1。たろう君とじろう君の速さの比も1:1.1。よって、時間の差はつきません。
本問は、ゴールの時間を求めるのではなく、順番(大小関係)だけわかればよいので、「時間の差がつかない部分」を目いっぱい利用して、計算を省略します。
では、このような比がそろっていることに、どうやって気づくのでしょうか?
本問は、実際の距離が、たとえば138.16mなどのように、端数なのに対して、速さの比が1:1.1のように、比較的スッキリしています。
ここに、何か仕かけがあるのでは?と、考えてみます。
1コースと3コースの半径は20mと22mなので、1:1.1。
そこで、125.6m:138.16m=1:1.1が「計算しなくても」わかります。
「計算の工夫」というよりも、「計算をしない工夫」ですね。
大問4「論理パズル」
本問が、2020年駒東で、最も難しい問題でした。
(1)アは「一番上」です。もしアが大きい紙だとすると、それがすべて見えているわけです。
すると、他の紙の見えている部分が、これと等しくなるわけがありません。
よって、アは最も小さい紙=青=144㎠
作った正方形の面積は144×4=576㎠=24cm×24cm
少々、とんちクイズのような論理ですが、こうなります。
(2)今度は、それぞれの紙が何㎠かくれているかを調べます。
黄色は36㎠、白は48㎠。
黄色の一辺は9cm、白の一辺は9.6cm
36は9の倍数。48は9.6の倍数。
よって、黄色と白は、長い方の辺がカットされてかくれていると、都合が良いので、仮にそうだとして話を進めていくと、うまくおさまります。
ここは、論理的には様々なかくれ方があるのですが、そのすべてを考えるのは、時間的に無理です。
「とりあえず、計算しやすい方から検討しよう。それでダメなら、他の受験生も解けないだろう」
という、きわめて受験的な発想で考えていくと、うまく解けるように、問題が作られています。
辺の長さも、「見た目が長い方が長い」という考え方で大丈夫です。
本来、算数的には、問題の図がうそ図の場合も考え、論理的にどちらの可能性もあるならば、場合分けして、すべてを検討しなければなりません。
でも、本問は、見た目を信じて、見た目を優先して検討していくと、そのまま正解が得られます。
「正解は一つ」ということを前提とする、結果オーライの解き方です。
(3)も要領は同じです。青が38.4㎠かくれていて、38.4は9.6の倍数なので(4倍です)、白い紙が青い紙の横っ腹に頭から4cm突っ込んでいる図が、最も相性が良く、それで試していくと、うまく正解が得られます。
このような解き方は、ほとんど当てカンで、本来、算数的な発想ではありません。
常に有効とは限らず、逆に、当てカンを逆手に取られる「引っかけ問題」も存在します。
しかし、他に手がかりが無く、時間も無い中、短時間で正解に迫るためには、重要な受験テクニックです。
2020年度・駒東・算数で、最も目を引いたのは、「倍数関係」に着目する解き方です。
大問2では、2020が101の倍数(20倍)であることに着目しました。
大問3では、20:22が1:1.1であることに着目しました。
大問4では、48が9.6の倍数(5倍)であること、38.4が9.6の倍数(4倍)であることなどに、着目しました。
これらの倍数関係に気づくことが、問題を解くために決定的に重要、もしくは、問題を「速く」解くために決定的に重要です。
このような解き方が、毎年有効かどうかは、わかりません。(出題者次第です)
でも、頭に入れておく価値は、十分にあります。
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