武蔵 算数 対策 2019年


傾向

2019年の武蔵算数は、例年通りの出題傾向でした。難易度は、やや高かったようです。

 

今年も、三角形の相似を使った応用問題(大問2)、ルール指定問題(大問4)が出題されました。

 

問題は、おおむね、易しい順に並んでいて、一つの大問の中でも、小問1が易しく、後の問題ほど、難しくなっていきます。

 

要するに、前から順番に解いていけばよいということです。

 

順に見ていきましょう。

 

大問1 数の性質

 

(1)1以上31以下の素数は、根性で書き出すしかありません。それらの和も、根性で足すしかありません。

 

でも、「約数の個数」を計算で求める公式はあります。「約数すべての逆数の和」も、通分すると分子は「すべての約数の和」になるので、やはり公式で求められます。

 

これらの公式は、本来、高校数学ですが、「場合の数」の応用問題ともいえるので、最近は、塾でも教えるところが増えています。

 

大問1は、ウオーミングアップとして、根性書き出し問題と、公式あてはめ問題を出題したようです。

 

ぜひ、満点を取りたいところです。

 

大問2 平面図形(三角形の相似)

 

武蔵の「相似問題」は、伝統的に、平行線を利用した三角形の相似、通称「砂時計の相似」「ピラミッドの相似」です。

 

でも、本問のように、若干毛色の異なる相似も出る時があるので、ご用心です。

 

FからADに向けて、垂直な補助線を引ければ、あとは簡単に解けます。

 

大問3 点の移動・速さ・面積

 

(1)(2)については、武蔵の受験生にとっては、あまりにも易しいでしょう。コメントもありません。

 

(3)は、とても手間がかかります。1分間すべてについて調べなくても、1周期分だけ調べればよいのですが、1周期が40秒なので、結局40秒分のグラフをかくことになります。

 

大問4 ルール指定・場合の数

 

本問も、いかにも武蔵的な問題です。一定の条件を満たす図形が何通りあるか?という問題。

 

(1)は練習。

(2)も、やや高度な練習。

(3)は、難問。もれなくすべて書き出すのは、かなり難しいです。

 

(3)はできなくても、合否に影響はなかったと推測します。

 

まとめ

 

学校公表のデータによると、2019年武蔵の算数は、合格者平均点55.2。受験者平均点39.4。(100点満点)

 

大問1、大問3(1)(2)、大問4(1)(2)が比較的易しく、ここまでで、約5割の得点。

 

逆に、大問3(3)、大問4(3)は、かなりの難問。

 

その結果、大問2ができたかどうかが、合否を分けました。

 

大問2ができると、上位合格。できないと、ぎりぎりか、不合格。と、推測します。

対策

大問1では、「約数の個数」「約数の和」の公式を使います。もちろん、知らなくても解けますし、それほどばく大な手間でもありませんから、絶対知らなければいけないというものでもありません。

 

興味のある人向けに、少しだけ説明します。(興味のない人は、読み飛ばして大丈夫です)

 

本問では、「160の約数の個数」が問題となっています。

 

160=2×2×2×2×2×5

 

2の使い方は0個から5個の6通り。5の使い方は0個、1個の2通り。

 

よって、6×2=12個が答え。

 

「160の約数の和」は、(1+2+4+8+16+32)×(1+5)=(64-1)×6=378

 

よって「160の約数の逆数の和」は

378/160=189/80。

 

計算だと、簡単に求められますが、この公式の意味を正確に理解するのは、結構難しいです。

 

現実の中学受験生の多くは、今一つ理解しないまま、公式を暗記しています。

 

そのような現状への軽い批判が、続く大問1(2)。

 

本問も、塾で簡単な解き方を教えていて、多くの受験生は、意味を十分理解せず、暗記しています。

 

ところが、(2)は、「式や考え方も書きなさい」という条件がついているので、暗記だけでは得点できません。

 

やはり、要領のいい解き方を教わったときも、その意味を理解する努力が、武蔵ほどの難関校になると不可欠といえます。

 

大問2は、補助線が引けたかどうかが、すべてです。

 

「ここに補助線を引きましょう」と言われれば、誰でも解けますが、「では、どうやって、思いつくのか?」ということになると、暗記に頼っていた人は、無力です。

 

レッツ算数教室で、「暗記はダメ」「算数は発想がいのち」と言っているのは、そのためです。

 

では、本問では、どうするか?

 

くわしいことはレッツ算数教室の授業で、ということになりますが、少しだけヒントをいうと、「相似ができるように」「縦方向の比を生かせるように」補助線を引きます。

 

大問3の(1)(2)は、簡単。(3)は、とても手間がかかるので、実戦では、捨て問かもしれません。

 

残り時間を確認しながら、現場で判断します。

 

大問1、大問2が解けた人は、すでに5割確保しているので、(3)は後回しでもいいでしょう。

 

大問4は、(1)(2)を解きながら、どれだけ本問の特徴をつかめるかの勝負です。

 

「場合の数」と「平面図形」を融合した問題は、武蔵の十八番で、過去問にも良問がたくさんあります。

 

難しい理論を知らない低学年の子でも取り組めます。

 

時間に余裕のあるうちに、ゲーム感覚で考えると、力がつきます。



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