東京農業大学第一高等学校中等部の算数は、大問5問の構成が、標準となっていて、各大問が、多数の小問に分かれています。
小問単位で数えたときの総数は、一定していませんが、多めになっていて、多い時は、20問ほどにもなります。
制限時間40分に対しては、かなりの量といえます。
出題分野は、「計算問題」「単位換算」「約束記号」「平面図形」「立体図形」「割合と比」「文章題」「速さ」など、はば広い分野にわたっています。
難易度は、易しいものから、かなりの難問まで、はば広く出題されています。
たとえば、2016年第3回大問2(5)などは、5年生でも解けそうな、易しい問題です。
一方で、2016年第3回大問5、2015年大問5などは、中学入試問題の中でも最高レベルの難問です。
これらのことから感じられるのは、中学入学段階では、生徒のレベルに寄り添って、親切な指導が行われる一方で、生徒が成長すれば、それに応じていくらでもレベルの高い指導が可能であるという、教師陣の実力でしょう。
また、2017年愛1回大問3(1)は「2次関数のグラフ」、2018年第1回大問5は「分数関数のグラフ(高校数学3)からの出題です。
必ずしも、受験生が正解できることを、期待しているわけではないでしょう。
むしろ、過去問演習をしている小学生に対して、「このような面白い曲線のグラフもあるよ」と、興味をさそうのが、ねらいかもしれません。
ということが、期待されます。
学校がかかげる「知耕実学」の理念とは、実学で自分の「知」を耕し、深めていこうという意味だそうです。(学校ホームページより)
それを実現するため、体験型学習を重視するカリキュラムを組んでいるようです。
「グラフを自分の手でかいてみる」というのも、その一つでしょう。ある意味、実験と観察です。
算数の入試問題の中にも、「知耕実学」の理念が、垣間見えます。
問題は、易しいものから、難しいものまで、はば広く出題されますが、必ずしも、前の問題が易しく、後ろに行くほど難しくなる、というわけではありません。
たとえば、2017年第1回大問3などは、かなりの難問ですが、続く大問4は、易しい小問が8問並んでいます。
また、制限時間40分に対して、出題数が一定していません。
このことから、東農大一中の算数は、「時間配分がかなり難しい」といえます。
問題の難易度を見きわめ、残り時間を確認しながら、「解く問題」「とばす問題」を決めていく、臨機応変な対応力が求められます。
そのような対応力を身につけるには、どうすればよいでしょうか?
即効薬はありませんが、日ごろから、塾のテキストの定番問題について、モレなくマスターしておくのが、一番でしょう。
「どこかで見たことのある問題は、絶対解ける」という自信が、緊張した中で、正しく判断する力の源です。
最後に、「知耕実学」「体験型学習」という意味からは、先ほどの「グラフ作成」のほか、「立体切断」「折り紙」の問題なども、出題されやすいといえます。
豆腐や大根を切断して、切り口の形を確認する勉強なども、有効です。