目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~5) |
「対策」 |
(1)入試結果
サレジオ中学2021年A・算数は、例年より点数高めの結果となりました。
受験者平均点 | 合格者平均点 | |
2021年 |
68.4 | 77.1 |
2020年 | 51.8 | 64.8 |
2019年 | 51.5 | 62.4 |
(サレジオ中学ホームページより引用・算数100点満点)
(2)出題分野
「統計」「数の性質」「平面図形」を中心に、「比」「速さ」「場合の数」なども出題されています。
「統計」は、単に計算して平均点などを求めるだけではなく、統計結果から読み取れることを文章でまとめるという、本格的な出題です。
そこには、分布の偏り、すなわち、偏差値のもとになる考え方も含まれています。
(3)難易度
平均点は高めですが、記述式で、分析結果や、簡単な証明を述べる問題が出題されていますから、決してあなどれません。
従来の典型的な中学入試問題とは別の意味の難しさがあると思われます。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | B |
(2) | 計算問題 | A |
大問2 | ||
(1) | 数の性質 | B |
(2) | 比 | B |
(3) | 速さ・進行グラフ | B |
(4) | 場合の数 | D |
(5) | 平面図形と比 | C |
大問3 | ||
(1) | 統計 | B |
(2) | 統計 | C |
(3) | 統計 | D |
大問4 | ||
(1) | 数の性質 | C |
(2) | 数の性質 | C |
(3) | 数の性質 | E |
大問5 | ||
(1) | 平面図形 | C |
(2) |
平面図形 |
B |
(3) | 平面図形 | E |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1「計算問題」
(1)は、帯分数を仮分数に直すのは、大変です。
そこで、計算の工夫!
全ての分数に÷2がついていますから、とりあえず、÷2の計算は、後回し。
( )は、ついていても、いなくても、同じことなので、はずします。
さらに、帯分数の整数部分と分数部分を切り離し、整数部分どうし、分数部分どうしで計算を行います。
その計算結果を2で割れば、出来上がり。
(2)では、0.125=1/8が、必須知識です。
大問2(1)~(3)
基本問題です。満点を目指しましょう。
大問2(4)「場合の数」
(4人、2人)または(3人、3人)です。
前者は、6人から2人選ぶ方法なので、6×5/2×1=15通り。
後者は、6人から3人選ぶ方法なので、6×5×4/3×2×1=20通りとなりそうですが、ここが難しい所です。
6人をABCDEFとしたとき、(ABC、DEF)と、(DEF、ABC)は、ボートを区別しないので、1通りと数えなければなりません。
ところが、先ほどの20通りは、すべて、2通りずつ数えてしまっています。
そこで20÷2=10通り。
合わせて15+10=25通り(答)
大問2(5)「平面図形と比」
CBの長さを6、三角形OCRの高さを6と設定すると、斜線部分の上底、下底、高さが表せます。
大問3「統計」
統計の意味を考える問題です。
必ずしも、計算によって、厳密な数字を求めるのではなく、誤差を許容して、全体的な傾向を読み取り、それを言葉で記述するというタイプの新傾向問題です。
特に(3)は、平均が等しくても、平均付近に偏っているグループと、両極端に分かれているグループの「質の違い」を説明する問題です。
このような「統計リテラシー」を試す出題は、受験界全体に見られる新傾向です。
大問4「数の性質」
連続する整数による和分解の問題です。
本問も、新傾向問題と言えるでしょう。
連続する整数の個数が奇数個の場合、真ん中の数が存在し、これは全体の平均値となります。
連続する整数の個数が偶数個の場合、真ん中の数はなく、平均値は○○.5となります。
この小数をはさみ、2個の整数が向かい合い、ここが中央部分となります。
この基本原理を使えば、(1)(2)は解けます。
なお、和分解の方法が何通りあるかは、その整数の奇数の約数(ただし、1を除く)の個数と、同じになります。
その理論的根拠は難しいので、当ホームページ内
算数の成績を上げるには?>和分解の話(タップ・クリックできます)
の中で、くわしくご説明しています。
大問5「平面図形」
(1)正三角形を半分に切った直角三角形です。
(2)8cmの辺の一方を底辺と見て、頂点から底辺へ、高さを表す垂直な線をおろせば、高さは4cmです。
(3)BCに対して、Aと線対称の位置にある点を取り、Fとします。
アとイが等しいので、3点EDFは一直線になります。
CEを底辺とすると、三角形CEBと三角形CEFは、底辺共通で、高さは等しいので(ECとBFは平行)、面積が等しい(等積変形)
よって、共通部分である三角形CEDを引いた残りの部分、三角形BDEと三角形FDCの面積も等しい。
三角形FDCは底辺3cm、高さ4cmなので、面積は6㎠(答)
小問単位で全16問。
合格者平均点は77.1/100。
12問正解で、約75点。
なかなか厳しい競争です。
落としてもやむを得ない問題は、大問2(4)、大問3(3)、大問4(3)、大問5(3)。
残りは、満点を目指しましょう。
・対策の1つ目は、標準的な問題を完全マスターすること。これで、大問1、2は満点が取れます。
・対策の2つ目は、問題文の誘導にうまく乗ること。大問3~5は、算数的読解力によって、誘導に乗れたかが、勝敗を分けます。
・対策の3つ目は、記述力を身につけること。大問3、大問5は、「気づいたことを述べなさい」「その理由を説明しなさい」「途中の考え方も書きなさい」となっています。