目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~5) |
「対策」 |
(1)入試結果
聖光2022年第1回・算数は、ほぼ例年通りでした。
合格者平均点 | 受験者平均点 | |
2022年 | 106.4 | 85.1 |
2021年 | 96.3 | 72.5 |
2020年 | 107.1 | 84.1 |
(聖光学院中学ホームページより引用・算数150点満点)
(2)出題分野
「場合の数」からの出題が、多くなっています。
また、「点の移動」「平面図形・移動」など、動く図形問題も、多数出題されています。
動く図形問題は、図形のみならず、「速さ」「グラフ読み取り」など、多面的な能力を試すことができますし、ルールを説明することで、「算数的読解力」も試すことができます。
一見、偏った出題のようにも見えますが、隠れたテーマまで含めれば、総合的な実力を見ていると言えます。
(3)難易度
各大問の最後の小問が、難しくなっています。
全体的には、基本的な問題から、難しい応用問題まで、バランスよく出題されています。
難問の配置場所により、精神的プレッシャーを感じることはなく、学力がそのまま反映するタイプです。
出題分野&難易度マップを掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | ニュートン算 | C |
(3) | 割合・仕事算 | C |
大問2 | ||
(1) | 場合の数 | C |
(2) | 場合の数 | C |
(3) | 場合の数 | D |
(4) | 場合の数 | E |
大問3 | ||
(1) | 点の移動 | B |
(2) | 点の移動 | D |
(3) | 点の移動 | E |
大問4 | ||
(1) | 場合の数 | B |
(2)(ア) | 場合の数 | B |
(2)(イ) | 場合の数 | C |
(3) | 場合の数 | E |
大問5 | ||
(1)(ア) | 平面図形・移動 | C |
(1)(イ) | 平面図形・移動 | C |
(2)(ウ) | 平面図形・移動 | D |
(2)(エ) | 平面図形・移動 | E |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1(1)「計算問題」
ウオーミングアップ問題です。
0.625=5/8は、必須知識です。
大問1(2)「ニュートン算」
「牛」も「草」も出てきませんが、ニュートン算です。
にあたります。
ア+イ×100=3500×100
ア+イ×80=4000×80
よって、
イ=(3500×100-4000×80)÷(100-80)=1500
ア=350000-150000=200000(答)
大問1(3)「割合・仕事算」
1/2÷60:1/7÷24=7:5
36÷(7+5)×7=21人
1/2÷21=1/42……1人1時間の仕事量
(1-1/2-1/7)÷(36/42)=5/12時間=25分(答)
大問2「場合の数」
(1)
900,901,902,903,904,905,906,907,908,909
910,911,
920,930,940,950,960,970,980,990
以上、20個(答)
(2)
(1)から、0が1つでも含まれていれば、何でも良いという、規則性がわかります。
□□0→それぞれの□は1~9まで入るので、9×9=81個
□0□→同じく81個
□00→1~9の9個
81+81+9=171個(答)
(3)
並べかえ | |
111 | 1通り |
211 | 3 |
311 | 3 |
411 | 3 |
511 | 3 |
611 | 3 |
711 | 3 |
811 | 3 |
911 | 3 |
221 | 3 |
321 | 6 |
合計11個 | 合計34個 |
条件を満たすのは11個(答)
(4)
足し算、かけ算とも、計算の順序は、和や積に影響しません(交換法則)
よって、大小関係の条件を取り払い、自由に並べかえても、大丈夫です。
それが、上の表の右側。(34個)
「0を含む場合」「含まない場合」を合計すると
171+34=205個(答)
大問3「点の移動」
(1)
12秒後、PはCから4cm進み、QはちょうどFから折り返すところです。
11÷(2+5)=11/7
12+11/7=13と4/7秒後……ア(答)
30秒後、PはC、QはCDの真ん中をCに向かっています。
5÷(2+5)=5/7
30+5/7=30と5/7秒後……イ(答)
(2)
20÷2=10、30÷2=15
よって、Pが1回目にCD上を移動するのは、10~15秒後
(5+10+5+5+10)÷10=3.5……ウ(答)
(5+10+5+5+10+5+5+10)÷15=11/3=3と2/3……エ(答)
(3)
まず、35秒後にQがDにいるような速さを求めます
95÷35=2と5/7、105÷35=3、135÷35=3と6/7
これらは、いずれもPが1回目にCD上を移動する間にQと重なっています
よって、2と5/7、3、3と6/7(答)
大問4「場合の数」
(1)
5×4×5×4×3=1200通り(答)
(2)(ア)
3×3×2=18通り(答)
(2)(イ)
18の倍数とは、9の倍数かつ偶数。
5+5+5=15より、各位の数の和は最大15だから、各位の数の和は9に確定。しかも、偶数を含む。
そのような組み合わせは(5,2,2)(4,4,1)(4,3,2)
数の順序と色も考えます。
(たとえば、最初の522は、5の色が3通り、2の色は1つ目が3通り、2つ目は2通り)
合計180通り(答)
(3)
4個の玉のうち、同じ数が3個、異なる数が1個だったとします。
これを、AAABとします。
Aのそれぞれの色は異なるので、並べかえは3×2×1=6通りありますが、Bは色がどうであれ、もう選び終わっているので、1通りです。
よって、AAABの並べ方は6×1=6通りあります。
同様に、AABA,ABAA,BAAAも6通りずつあります。
よって、色による並べかえを考えない4つの整数の和は
106656÷6=17776
AAAB+AABA+ABAA+BAAA=17776
A×3333+B×1111=17776
A×3+B×1=16
(A,B)=(5,1)
よって、(1,5,5,5)(答)
同じことを、AABB、AABCについても行います。
AABBの場合
106656÷4=26664
A×3333+B×3333=26664
A+B=8
(A,B)=(5,3)
よって、(3,3,5,5)(答)
AABCの場合
106656÷2=53328
A×6666+B×3333+C×3333=53328
A×6+B×3+C×3=48
(A,B,C)=(5,4,2)(4,5,3)
よって(2,4,5,5)(3,4,4,5)(答)
大問5「平面図形・移動」
(1)(ア)
9÷(1+2)=3→3秒後に重なり始める
9÷(1+2)=3→3秒後に9cm
9÷(1+2)=3→3秒後に0cm
9÷(2-1)=9→9秒後に9cm
(2)(イ)
(ア)は最終的にBでピッタリ重なりました。
よって、(イ)は(ア)を逆向きに戻したのと同じことです。
(ア)と線対称な形のグラフになります。
(2)(ウ)
RとSが交わる時、
・横方向の重なりは、(1)のアと同じ。
・たて方向の重なりは、(1)のイと同じ。
(1)の2つのグラフの、5秒後の値を読み取ります。
重なりは長方形で、たて4cm、横6cm
よって、面積は4×6=24㎠(答)
(2)(エ)
(1)の2つのグラフを重ねてかいたとき、交わる部分の時間を読み取ります。
ただし、重なり0cmのときは、正方形ではなく、点になってしまうので、除きます。
4.5、13.5(答)
・聖光らしい、骨のある問題が並んでいます。
でも、天才的なひらめきより、地道な勉強の積み上げが必要です。
努力が報われます。頑張りましょう。
・本年度は特に、「場合の数」の大問が2問出題されています。
1問目(大問2)は、出題者の方で、ある程度、場合分けをしているので、誘導に乗って解き進めます。
出題者は、0の有無で場合分けしていますが、それはなぜか?考えてみると、力がつきます。
場合分けのお手本のような問題なので、よく味わいましょう。
2問目(大問4)は、自分で場合分けしないといけません。
特に(3)は難しいでしょう。
この違いを理解する必要があります。
1では、これから玉を選ぶので、3の玉の色は3通り考えられますが、2では、もう玉を選び終わっているので、3の玉の色は1通りに決まっています。
問題文の意味が微妙に異なり、そこを読み取る「算数的読解力」が求められます。
・大問5は、「対称性」に気づくかどうかが、ポイントです。
大問4が、かなり時間のかかる問題なので、大問5は対称性を利用してサクッと解かないと、時間不足で終了となった可能性があります。
合否を分ける1問だったのではないでしょうか。
「対称性」のような発想は、決して天才だけのものではありません。
正しいポイントをおさえて、こつこつ勉強していれば、十分身につく能力です。
レッツ算数教室では、「算数の発想法」を重視した授業を行っています。
「算数の発想法」については、当ホームページ内
の中で、さらにくわしくご説明しています。
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