芝-第1回学校説明会(2019年5月24日実施)に行ってまいりました。
都内屈指の進学校でありながら、入試問題には、どこか、おおらかな雰囲気のただよっている芝学園。
いったい、どのような先生方が指導なさっているのか?
興味津々でしたが、その答えを垣間見た気がしました。
まず、15代校長、武藤道郎先生のお話。
「高校2年生が中心になって運営している学園祭が、芝を集約している」
「学園祭は、彼らが、自分たちの代で何ができるか、見せつける場。」
「純粋、素朴な姿を見てもらう」
とのことでした。この「純粋、素朴」は、芝学園の雰囲気を表すキーワードではないかと思います。
では、武藤校長先生は、どのような子に、芝にきてほしいと考えていらっしゃるか?
「今度、男子中フェスタがあります。そのポスター(?)には、以前、’極上、焼き肉’と書いてありました。次の年は、’極上、大トロ’と書いてありました。そこで、フェスタに来た子に、今度、何だと思う?ときくとします。ここで、’うなぎ’と答える子は、普通の子。私としては、’パフェ’と答える子にきてほしい。」
のだそうです。そして、
「’先生、パフェって知ってる?何のパフェだと思う?’と、聞き返す子は、好奇心がある。こういう子に来てほしい。」
あるいは、
「からあげ、と答える子。からあげという、どこにでもありそうなものに、極上、というのが面白い。」
とのことでした。
こうして、文字で表すと、筆者の力不足から、面白さが伝わらないのが残念ですが、校長先生の身振り手振りや、声の調子は、ちょっとした芸人?!(もちろん、軽薄という意味ではありません。)
会場からは、笑いが途切れませんでした。
ぜひ、ナマ武藤先生のお話を、お聞き下さい。
ここからは、創立や、理念のお話。
「もともと増上寺に集まってきた優秀な僧が、芝の始まり。浄土宗の学校だが、宗教色は強くない」
「遵法自治、共生(ともいき)が、芝の柱。共生とは、自分1人で生きているのではなく、社会の中で生かされているということ。」
芝は、どういう子を育てたいかというと、
「遵法精神、共生を曲げてまで、やることはない。世間からは進学校と言われているが、芝は人間教育の学校。」
「自分の家族をしっかり守れる男の子を育てていきたい。トップに推されれば出ていくが、2番手、3番手でも、社会をしっかり支えていける男の子を育てていきたい。」
とのことでした。
配布されたパンフレットには、大学合格実績が紹介されていますが、「大学名」がありません。「学部別」の合格実績になっています。
これなども、
「どこの大学に合格するかということよりも、どのような人間になるかということが、大切だから」
なのだそうです。
「もちろん、学校ホームページには、大学別の合格実績も掲載してありますが。」
と、つけ加えておられました。
進学校として、期待されていることはやっているが、あくまで、人間教育が私学の使命、というメッセージに聞こえました。
他にも、興味深いお話の連続でしたが、ついつい話に引き込まれて、メモを取りきれませんでした。
ぜひ、ナマ武藤先生を!
次は、教科の先生からのお話。
といっても、英語の先生と、美術の先生のお二人。教科内容の説明ではありませんでした。
まず、英語の先生から、海外研修(ベトナム研修)の様子について、お話がありました。
スライド写真を見ながら、あの時は、ああだった、こうだったというご説明がありましたが、圧巻だったのは、最後のまとめ。
スクリーンには、
彼らの「今」の笑顔の先に、「いつか」気が付く、その価値を見据えて
という文字が映しだされました。
どのような意味かというと、
「海外研修は、海外旅行ではない。海外研修で、心に’引っかかった’ことが大切。その答えは、今すぐわからなくてもよい。いつか、振り返ったときに、ああ、そういうことだったのか、と気が付くことが大切」
というような意味のお話でした。
このようなところが、芝学園の学校教育の真骨頂だと思います。
次は、美術の先生のお話。「芝生(しばせい)のすごいところ」のお話でした。
美術の先生も、校長先生に負けず劣らず、人間味豊かな先生で、会場を沸かせていらっしゃいました。
美術の先生が、すごい生徒の1人目(当時、中学3年生)として話されたのは、次のようなエピソード。(何年も前の話)
「あるとき、中間テストの1時間目に遅刻した生徒がいた。”どうした”と尋ねても、”いや、ちょっと”というばかりで、答えない。遅刻は遅刻だし、その科目は0点にせざるを得なかった。」
「ところが、その子のお母様にお会いしたとき、”先生、実は、大変だったんですよ。でかける前からお腹が痛かったんですが、御成門の駅で我慢ができなくなり、トイレに行ったんです。でも、順番待ちで……”」
結局、待っている途中で、漏らしてしまったそうです。
ところが、その子がすごいのは、そこから。
駅のトイレの中で、はいていたものをすべて洗い、かわかして、2時間目からテストを受けたそうです。
これが、芝生のすごいところとして、最初にあげられたエピソードでした。
どこそこのコンテストで優勝しました、というような話とは、ある意味、真逆です。
芝生も、コンテストで優勝したり、活躍なさったりしていることを、筆者は知っています。
他校であれば、そのような実績を紹介するかもしれません。
でも、美術の先生が「すごい」と評価なさったのは、このようなエピソードでした。「200点あげたいと思った」そうです。
確かに、実社会で仕事をしていると、学問的な能力とは別に、どこでも教わったことのないハプニングに対して、臨機応変に対応する能力、たくましさが、とても重要です。
他にも、2~3名のすごい生徒のエピソードをご紹介下さいました。
美術の先生は、「欲を言わず、無理せず、時間をかけて自分の道をつかむ、たくましさ」を、高く評価なさっていらっしゃるようです。
芝学園のいう「人間教育」とは、このようなことも指しているように思いました。
最後は、やはり気になる入試のお話。
入試広報部長の先生から、ご説明がありました。
2019年度入試では、第1回で算数の点差が開き、第2回では、さらに開いたそうです。
教科別のアドバイス。
1、国語
大問1、2「漢字書き取り」。大問3「論説文」。大問4「物語文」。すべて記述。10~20字。80~100字。部分点あり。
ふだんから、書く練習が大事。ただし、読める字で。トメ、ハネも大事。
2、算数
全9題。答えだけ書けばよい。難しい問題と、易しい問題を混ぜて出題する。できる問題から解くように。
3、社会
事件、人物名は、漢字で書けるように。120字記述問題あり。要旨をまとめる、国語の問題に近い。
4、理科
物理、化学、生物、地学4科から、まんべんなく出題する。スピードが大事。実験手順の理解が大事。
よくある質問について
Q,第1回、第2回両方受験すると、考慮されることはありますか?
A,第2回でボーダーを数点下回っても、正規合格できることがあります。
Q,繰り上げ合格はありますか?
A,第2回入試で、出すことはあります。15年、16年なし。17年24人。18年6人。19年3人。
Q,2020年大学入試改革に対する対応は?
A,英語について。ネイティブの先生を交えて、中1から、スピーチ、暗唱、中2から英会話をとりいれています。国語は、論述、記述重視。
Q,昼食は?
A,お弁当持参
Q,通学時間は?
A,30分以内12.3% 1時間以内64.8% 1時間30分以内20.1%
その他、「保護者の転勤の場合の復学制度」「留学の場合に、次の学年に編入するか、元の学年に戻るか」についての説明もありました。
なお、本稿は、録音をおこしたものではありません。意味を損なわないよう、できるだけ客観的に、正確にお伝えするよう心がけましたが、誤りや、誤解をまねく表現があれば、すべてレッツ算数教室の責任である点、お断りしておきます。
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