目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~5) |
「対策」 |
(1)入試結果
渋幕2022年1次・算数は、点数高めの結果となりました。
受験者平均点 | 合格者平均点 | |
2022年 | 52.0 | 64.0 |
2021年 | 41.9 | 52.1 |
2020年 | 45.0 | 61.3 |
2019年 | 39.4 | 53.2 |
(渋谷教育学園幕張中学ホームページより引用・算数100点満点)
受験者平均点が高かったこと、受験者と合格者の平均点の差がやや小さいことの2点に、本年度の特徴があります。
原因は、難問とそれ以外の問題の難易度の違いが大きく、多くの受験生が、難問以外を確実に得点できたことにあると、分析できます。
(2)出題分野
「規則性」「場合の数」「速さ」「平面図形」「立体図形」から出題されています。
「速さ」は、「論理・推理」の要素を含む「覆面進行グラフ」が出題されているので、実質的には「場合分け問題」といってもよいでしょう。
すなわち、場合分け能力を重視した出題傾向になっています。
(3)難易度
例年、渋幕の図形問題は超難問で、少々算数が得意なぐらいでは、手も足も出ない問題が多いのですが、本年度は様相が一変しています。
大問4の「平面図形」は、基本的な出題で、4年生の終わりごろの応用問題レベルです。
今回の受験者平均点が高かった要因は、ここにありそうです。
もっとも、大問2(3)から大問3にかけてが難問だったため、精神的にパニックになった受験生は、大問4で差をつけられた可能性があります。
出題分野&難易度マップを掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 規則性 | B |
(2) | 規則性 | C |
(3) | 規則性 | D |
大問2 | ||
(1) | 場合の数 | B |
(2) | 場合の数 | D |
(3) | 場合の数 | E |
大問3 | ||
(1)① | 速さ・進行グラフ | E |
(1)② | 速さ・進行グラフ | E |
(2) | 速さ・進行グラフ | E |
大問4 | ||
(1) | 平面図形 | B |
(2) | 平面図形 | B |
大問5 | ||
(1) | 立体図形 | C |
(2) | 立体図形 | E |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1「規則性」
(1)黒石の個数は6、12、18……と、6の倍数になっています。
1+6+12+18+……+60=331個(答)
計算には、等差数列の和の公式を用いましょう。
(2)6の倍数を足していくのもよいのですが、計算の見通しをよくするために、数を小さくしましょう。
1000÷6=166あまり4
1+2+3+4+……+17=153
153+18=171
すなわち、18周目に1000個を越えます。
よって、17周(答)
(3)正方形の黒石の個数は、8、16、24と8の倍数になっています。
6×(1+2+3+…+□)=8×(1+2+3+…+△)
( )の部分は逆比の4:3になります。
1+2+3……(三角数)を小さい順に並べて、4:3になるものを探します。
1、3、6、10、15、21、28
28:21=4:3より、□=7、△=6
よって、7(答)
大問2「場合の数」
(1)赤の変わり方は、4通り。
そのそれぞれについて、青の変わり方は残りの3色の3通り。
以下、同様。
4×3×2×1=24通り(答)
(2)
まず、赤の変わり方について、大きく2通りに分けます。
① 赤→赤
② 赤→赤以外
① 「赤→赤」の場合
赤については、最後まで赤なので、問題ありません。
青について
「青→青」の場合。青は最後まで青なので問題ありません。そこで、黄と緑について検討すると「黄→黄、緑→緑」「黄→緑、緑→黄」の2通りがあります。
「青→黄」の場合。「黄→青、緑→緑」の1通り
「青→緑」の場合。「黄→黄、緑→青」の1通り
結局、①の赤→赤の場合は、合計4通りです。
② 「赤→赤以外」の場合。
「赤→青」ならば、「青→赤」は確定で、黄と緑の検討に移ります。
「黄→黄、緑→緑」または「黄→緑、緑→黄」の2通り
よって、「赤→青」の場合は2通りなので、「赤→黄」、「赤→緑」の場合もそれぞれ2通りで、合計2×3=6通り。
以上より①、②の場合を合計して、4+6=10通り(答)
(3)
まず、赤の変わり方について、大きく2通りに分けます。
① 赤→赤
② 赤→赤以外
① 「赤→赤」の場合
最終的に全ての色が赤になる必要があります。
ということは、赤以外の色で、赤に変わるものが、少なくとも1つあります。
その色は青、黄、緑のいずれかです。
仮に「青→赤」としましょう。
このとき、「黄→黄」ではいつまでたっても赤に変われないので、黄は赤、青、緑のいずれかに変わる必要があります。
ところが、ここで、黄が赤に変わると、不都合が起きます。
なぜならば、緑が赤、青、黄のいずれに変わっても、2回操作した時点で、すべての色が赤になってしまい、「3回で初めて赤一色になる」という問題文の条件に反してしまうからです。
そこで、「黄→青」または「黄→緑」です。
「黄→青」の場合、緑は3回目に初めて赤になる必要があるので、「緑→黄」になります。
「黄→緑」の場合、黄は緑に1回遅れて赤になるので、緑は2回目に赤になる必要があり、「緑→青」です。
よって、「青→赤」の場合は2通りです。
「黄→赤」「緑→赤」の場合も、それぞれ2通りずつあるので、結局、①「赤→赤」の場合は2×3=6通り。
② 「赤→赤以外」の場合
仮に、「赤→青」としましょう。
すると、「青→赤」はナシです。なぜならば、3回目に赤が青になってしまうからです。
よって、青は黄または緑に変わります。
仮に、「青→黄」としましょう。
すると、不都合が起きます。
赤を3回目に赤に戻すには、「黄→赤」としなければなりませんが、そうすると、今度は青が3回目に青になってしまいます。
「青→緑」にしても、同じ矛盾が起きます。
つまり、「赤→青」はナシ。
同様に「赤→黄」「赤→緑」もナシ。
結局②の「赤→赤以外」はナシです。
よって、①で求めた6通りが最終的な答えになります。
大問3「速さ・進行グラフ」
本問は、近年、難関校の間で流行している、「覆面(ふくめん)進行グラフ」です。
虫食い算と同じような「論理・推理」をします。
(1)
まず、Aに火をつけた瞬間に、最も長いロウソクと最も短いロウソクの長さの差が変化していることから、Aは最も長いか、最も短いかのいずれかと考えられます。
さらに、その差が広がっていることから、Aが最も短いことがわかります。
その後、1つ目の●で差が縮まり始めていることから、Bが最も長く、BがAより速いことがわかります。
この段階で、①の答えが(ウ)となります。
さらに、2つ目の●から、差が再び広がり始めていることから、BがCに追いつき、追い越して、止まっているCと、燃えているAの差が広がりつつあることがわかります。
さて、Cは燃え始めた時、最も長かったわけですが、それにもかかわらず、最初に燃え尽きたということは、1分間に燃える長さ(すなわち、速さ)は、Cが最も速いことがわかります。
よって、②の正解は(オ)
ここまでを整理すると、
長さはB>C>A、速さはC>B>A
(2)
さて、3つ目の●はCが燃え始めたことを示していますが、4つ目の●で、グラフの線の傾きがゆるやかになっているのは、何を意味しているのでしょうか?
これは、CがBを追い越したことを示しています。
以後、グラフが表す「長さの差」は、「追いかけるBと逃げるAの差」を表しています。
5つ目の●で差が広がり始めたのは、何を意味しているのでしょうか?
これは、CがAを追い越したことを意味しています。
以後、グラフは「どんどん逃げるCと、ゆっくり追いかけるBの差」を示しています。
逃げ足の方が速いから、差が広がります。
ところが、6つ目の●で、グラフはもう一度下向きに変わります。
これは、Cが燃え尽きたために、BがCに、どんどん追いついていることを示しています。
グラフの縦軸が0になる時、BはAに追いつくと同時に、燃え尽きます。
すると、次のように考えることができます。
0分の時の6cmとは、BがAより6cm長いことを示しています。
Bが燃え始めた10分の時の10cmとは、Bが燃え始めた時、Aは10-6=4cm燃えたことを表しています。
すなわち、Aが燃える速さは、0.4cm/分です。
Cは、燃え始めた15分の時点で、Aより10cm長く、25分後の40分の時点でAに追いついています。
10÷25=0.4
よって、CはAより0.4cm/分速く、0.8cm/分です。
Cは15~50分の35分間で
0.8×35=28cm燃えました。
よって、Cの長さは28cm。
Aは初めの15分で0.4cm/分×15分=6cm燃えて、この時、長さ28cmのCより10cm短かったので、18cm。
よって、もともとの長さは18+6=24cm。
Bは、Aより6cm長いので、もともとの長さは、24+6=30cm
以上より、
A=24cm、B=30cm、C=28cm(答)
大問4「平面図形」
(1)
●同士を結ぶと、次々と正三角形ができます。
正三角形の内角は60度なので、おうぎ形の中心角もわかります。
中心角の合計は
240度×2+120度×3=840度
よって、太線の長さは
6×3.14×840/360=43.96cm(答)
(2)
正三角形8個と、中心角840度分のおうぎ形です。
3×3×3.14×840/360+3.9×8=97.14㎠(答)
大問5「立体図形」
(1)
図形の対称性を考えながら、切り口線を書き込みます。
相似の三角形が現われ、相似比は4:2:1
よって、(4×4-1×1×3):2×2=13:4(答)
(2)
QRTを通る平面が底面EFGHに対して垂直になっているのが救いです。
Cを含む立体が三角柱と三角すい台の合体した形であることに気づけば、あとは簡単です。
・出題分野&難易度マップにおける「レベルE」の問題以外がすべて正解できると、ほぼ、合格者平均点になります。
「レベルD、E」の問題以外がすべて正解できると、ほぼ、受験者平均点になります。
つまり、「レベルD」で合否が分かれたといえます。
「レベルD」は2問出題されており、1問約8点。
実質的には、「8点の問題が2問、16点満点で、1問できれば合格」ぐらいの勝負になっています。
「レベルD」を確実に得点することが、大切です。
そうは言っても、「レベルE」が全滅では、薄氷を踏む思いの合格になってしまいます。
「1問もミスできない!」というプレッシャーは、ミスにもつながります。
よって、「レベルE」をある程度克服する必要があります。
ところで、この「レベルE」問題は、すべて「非常に高度な場合分け能力」を求めています。
特徴的なのは、大問3の「覆面(ふくめん)進行グラフ」
グラフの線が何を意味しているのか、可能性がいくつにも分かれてしまい、場合分けが必要になります。
また、隠されている数字が多いので、虫食い算を解くような「論理・推理」の力が必要です。
他方、問題を解くのに不必要な条件も含まれています。
なかなか手ごわいのです。
グラフから、現実に起きていることを思い浮かべる技術を身につけましょう。
そのためには、具体的に、グラフのどこに注目すればよいのか、よく整理しておきましょう。
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