渋渋 算数 対策 2021年

目次

 

「傾向」

1、概要

(1)入試結果

(2)出題分野

(3)難易度

2、各論(大問1~5)

 

「対策」

傾向(第1回)

1、概要

 

(1)入試結果

 

渋渋2021年度・第1回算数は、例年に比べ、やや易し目の出題となりました。

 

学校公表の各種平均点は、以下の通りです。(100点満点)

 

受験者平均点  
男子  50.7
女子 47.0
全体 48.3
合格者平均点  
男子 64.6
女子 60.8
全体 62.5

 

点数的には、例年並みです。社会状況を考慮し、やや難易度をおさえた結果、ちょうど良い出題となったようです。

 

なお、通常、学校が受験者平均点、合格者平均点などのデータを公表する場合、学校ホームページの「入試情報」「入試結果」などのページで、公表しますが、渋渋では、「学校紹介>学校紹介パンフレット」の中間部分に掲載されています。「入試情報」のページもありますが、そこには平均点のデータは公表されていません。

 

(2)出題分野

 

大問1は、「割合と比」「速さ」「平面図形」「立体図形」などの小問群。

 

大問2は、「規則性(フィボナッチ数列、トリボナッチ数列)。

 

大問3は、「立体図形(展開図)」。

 

大問4は、「水そうグラフ」。

 

概ね、渋々らしい出題です。

 

定番問題からの出題が多かったといえます。

 

(3)難易度

 

やや易し目でした。

 

本来であれば、定番問題のパターンをはずした難問を出題する学校なのですが、本年度の受験生は、そこまで準備できなかった人が多い点を考慮し、パターン通りの問題を多用したと思われます。

 

それでも、大問1(3)(4)は、パターンをはずした問題で、配点上は小さくても、やはり応用力は試しています。

 

「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)

 

Aが最も易しく、BCDEの順に、難しくなっていきます。

 

   出題分野&難易度マップ
大問1    
(1)   計算問題

A

(2) 割合・食塩水 B
(3) 速さ・通過算 D
(4) 平面図形と比・面積 E
(5) 立体図形・回転体の体積 C
(6) B
大問2    
(1) 規則性・フィボナッチ D
(2) 規則性・トリボナッチ D
(3) 規則性・トリボナッチ D
大問3    
(1) 立体図形・展開図 C
(2) 立体図形・展開図 D
(3) 立体図形・展開図 E
大問4    
(1) 水そうグラフ D
(2) 水そうグラフ D
(3) 水そうグラフ D

 

大問1(3)(4)が、実は最も難しかったかもしれません。

 

それでは、順に見ていきましょう。

 

2、各論

 

大問1

 

(1)「計算問題」

 

(2)「割合・食塩水」

 

ともに、基本中の基本です。

 

(3)「速さ(通過算)」

 

通常、「トンネルに完全にかくれている」問題では、「鉄橋を渡るのにかかる時間」が対比されます。

 

でも、本問は、「電車Bとすれ違う時間」が対比されています。

 

鉄橋は動かない。電車Bは動く!

 

このちょっとした違いにより、通常の解法が使えなくなり、受験生を混乱させます。

 

(4)「平面図形(面積)」

 

(3)で混乱し、これを捨てる決意で(4)に挑むと、こちらもまた、計算が困難を極めます。

 

本問を上手に解くには、計算式を1本にまとめて、約分約分約分に持ち込む必要がありますが、一般的に、小学生はこれが苦手。

 

まだ大問1の中盤なのに、2問続けて、捨て問にした受験生が多いと思われます。

 

(5)「立体図形・回転体の体積」

 

本問は、直前2問に比べ、はるかに易しいのですが、やはり3.14倍の計算です。

 

直前2問を捨てて、平常心を失うと、危うい問題です。

 

(6)「比」

 

本問も、基本中の基本問題ですが、あせりまくってしまうと、こういう問題でもミスします。

 

大問2が視界に入り、早く次へ進みたい!と、頭も体も斜めになっていますから、危険なのです。

 

ここまで、おそらく(1)(2)の正答率は高く、(3)(4)の正答率は低く、差はつかなかったと思われますが、(5)(6)は、受験生自身の精神状態により、大きく差がついたのではないでしょうか?

 

この、何の変哲もない最後の2問が、合否を分けたと思われます。

 

大問2「規則性」

 

(1)「フィボナッチ数列」

 

大問1で、さんざんだった人も、気分一新!大問2へ進みます。

 

書き出してみれば、フィボナッチ数列になることに、すぐ気がつくでしょう。

 

なぜフィボナッチ数列になるのか?

 

ふだんから考えていた人は、さらに早く、書き出してみるまでもなく、フィボナッチ数列になると、気がつきます。

 

(2)(3)「トリボナッチ数列」

 

こちらも、書き出してみれば、トリボナッチ数列になることに、気がつきます。

 

(1)がフィボナッチ数列なので、今度はトリボナッチ数列ではないかと、連想が働くので、容易に気がつくでしょう。

 

もちろん、フィボナッチ数列、トリボナッチ数列の発生原理を理解していれば、書き出してみるまでもなく、気がつきます。

 

大問3「展開図」

 

これも、よくある定番問題です。何も応用する必要はありません。

 

ただし……

 

わかっていても、ミスしやすい問題です。

 

頭の中で立方体を自由自在に転がせる人はよいのですが、普通はなかなかそうはいきません。

 

そこで、転がす際の「記号化」を準備しておく必要があります。

 

準備ができていれば、(それでもミスする可能性はありますが)、論理的には簡単な問題です。

 

大問4「水そうグラフ」

 

本問も、よくある定番問題です。

 

何も応用する必要はありません。

 

問題文に書かれている順番に、淡々と作業を進めていけば、答えが出ます。

 

ただし、問題文が長く、言い回しも間接的なので、「算数的読解力」が必要です。

 

たとえば、「水の高さの差が0cmになったとき」とは、何を意味しているのか?

 

早い話、「左右の水面の高さが、仕切りの高さに達したとき」なのですが、この当たり前すぎる現象を、もって回った表現にしているため、やや難しく感じます。

 

これほど簡単なことを、意味ありげな表現にしているため、「本当は、もっとすごいことを考えなければいけないのではないか……?渋渋の最後の大問だし」

 

と思ってしまい、悩んでしまうかもしれません。

 

自分の右足で、自分の左足を踏んづけて転ぶ、というパターンです。

 

これが、「国語的読解力」の問題でないことは、明らかです。

 

算数の条件を、解きやすい表現に言い換える「算数的読解力」が求められる問題です。

 

対策(第1回)

最も難しい問題が、大問1に配置されているという、渋渋にありがちな傾向が、今回も見られました。

 

できなくても合否に影響はありませんが、直後の易しい問題で勝負がつきます。

 

この点は、よく心得ておきましょう。

 

2021年は、社会状況に配慮して、受験知識、受験テクニックの出題を控える学校が多く、渋渋も同様でした。

 

しかし、無条件に易しくしたわけではなく、

  1. ミスしない注意力
  2. 長文を読む算数的読解力

については、しっかり試す出題となっています。

 

この2点は、次年度以降も、維持される可能性があります。

 

たとえば、大問1(4)の計算の工夫などは、本年度の合否には関係なかったかもしれませんが、来年度以降の参考になります。

 

この「計算の工夫」は、計算ドリルでは、達成されません。

 

なぜならば、計算ドリルは、「与えられた」問題を工夫して解く練習。

 

それに対し、本問の計算の工夫は、「自分で」計算しやすい式を立てる工夫。

 

大きな違いがあります。

 

この違いは、難関校ほど重要な意味をもってきます。

 

当ホームページ内

 

「使える計算力、使えない計算力」(タップ・クリック)

 

で、くわしく説明しています。

 

 

さて、社会状況が好転すれば、渋渋ならではの難問が、復活するでしょう。

 

2022年度受験の6年生は、現在(2021年6月)までのところ、学校も塾も、昨年ほどの打撃は受けていません。

 

おそらく2022年入試は、復活の年となるでしょう。

 

心して、準備しておきましょう。



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