目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~7) |
「対策」 |
(1)入試結果
桐朋中2021年第1回・算数は、やや易し目の出題となりました。
学校公表の受験者平均点は、100点満点中、62.1点。合格者平均点は71.8点でした。
(2)出題分野
「速さ」「平面図形」「割合」「比」「数の性質」「集合」など、幅広く出題されています。
「速さ(大問3)」「平面図形(大問5)」「割合(大問6)」では、定番問題、知識系の問題が出題されました。
他方、「集合(大問4)」「ルール指定・数の性質(大問7)」では、その場で考える思考力系の問題が、出題されています。
学力達成度と、地頭、両方をバランスよく試す構成になっています。
(3)難易度
大問相互間の難易度は、中盤の大問4と、最後の大問7が難問となっています。
必ずしも、易しい順番ではありません。
大問内部では、小問(1)が易しく、徐々にレベルアップしていきます。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 計算問題 | A |
(3) | 計算問題 | A |
大問2 | ||
(1) | つるかめ算 | B |
(2) | 平面図形 | C |
(3) | 割合・相当算 | C |
大問3 | ||
(1) | 速さ | D |
(2) | 速さ | D |
大問4 | ||
(1) | 集合 | C |
(2) | 集合 | D |
(3) | 集合 | E |
(4) | 集合 | E |
大問5 | ||
(1) | 平面図形と比 | C |
(2) | 平面図形と比 | D |
大問6 | ||
(1) | 割合・食塩水 | C |
(2) | 割合・食塩水 | D |
(3) | 割合・食塩水 | D |
大問7 | ||
(1)① | ルール指定・数の性質 | B |
(1)② | ルール指定・数の性質 | B |
(2) | ルール指定・数の性質 | C |
(3) | ルール指定・数の性質 | E |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1「計算問題」
(1)は分数。(2)は小数。(3)は分数と小数の混合計算。
この、着実に手順を踏む「折り目正しさ」「オーソドックス感覚」は、桐朋・算数の全体を貫いています。
大問2
(1)「つるかめ算」
本問は、基本です。
(2)「平面図形」
おうぎ形の面積×2=長方形の面積
この式を、数字とaを使って、表します。
(3)「割合・相当算」
基本です。
ここまで、大問1、2は、呼吸を整えるための、ウオーミングアップ問題です。
満点を目指しましょう。
大問3「速さ」
兄が、弟の歩く速さより分速10mだけ速く、9分間歩けば、10×9=90m追いつきます。
この要領で、兄は弟に何m追いついたか計算すれば、兄が出発した時、弟が何m先にいたかがわかります。
すなわち、弟が残りの時間で進んだ距離と、かかった時間もわかり、弟の速さもわかります。
よって、すべてがわかります。
大問4「集合」
本問は、算数的読解力が求められます。
問題文の事実関係を(国語的にではなく)算数的に図形化できるかどうかが、ポイントです。
その際、障害になるのが、通常の集合で用いられる「ベン図」
通常は、たとえば、あるクラスで「算数が好きな人」「国語が好きな人」「水泳が好きな人」の3つの輪っかが交わっています。
このイメージを持ってしまうと、「2つの質問にどちらもAと答えた人」というのは、どの輪っかどうしの交わりか?と考え始め、意味不明になります。
本問で最初に比較すべきは、「どちらもA」「どちらもB」「どちらもC」の3つで、この3つの相当算になります。
その後は、質問1の答え方が3通り、質問2の答え方も3通り、合計3×3=9通りについて、どのパターンが何人か、推理していきます。
大問5「平面図形と比」
三角形DFCと三角形EBFの面積の差は、四角形AECDと三角形ABDの面積の差に等しい、という点に注目します。
すると、三角形ACDと三角形ABDの面積が等しいことから、三角形AECの面積が36㎠とわかり、解決です。
「等しいものに注目する」という算数の発想法が使われています。
大問6「割合・食塩水」
本問を解くのに、トリッキーなアイデアは必要ありません。
問題文の条件を順番にチェックして、そこからわかることを、着実に積み上げていけば、正解に達することができます。
その意味では、難しいながらも、努力が報われるタイプです。
大問7「ルール指定・数の性質」
(1)(2)は、とにかく練習感覚で書き出せば、比較的容易に正解に達します。
(2)の「考えられるものをすべて書きなさい」というプレッシャーも、「2回の操作」ということであれば、常識で判断できます。
ところが、(3)の「考えられるものをすべて書きなさい」は、操作が6回なので、適当に書き出してみるだけでは、お手上げです。
そこで、理論が必要となります。
本問の「操作」は、結局何をしているのかというと、分母の素因数を、小さい順に、一つ一つ約分で消しているのです。
たとえば、分母N=6で考えてみましょう。
「1/6→2/6=1/3」となった時、分母6の素因数2が、約分によって消去されています。
続いて「1/3→2/3→3/3=1」となった時、分母の素因数3が、約分によって消去されています。
分母のすべての素因数を、約分によって消去し終わったとき、操作の結果が1になり、終了します。
つまり、分母の素因数分解を確認すれば、何回の操作で終了するかがわかります。
たとえば、分母N=48で考えてみましょう。
48=2×2×2×2×3
です。
2を1つ消去するのに、+1の操作が1回ずつ必要なので、4回の操作が必要。
3を1つ消去するには、+1の操作が2回必要なので、2回の操作が必要。
よって、N=48ならば、操作は4+2=6回必要とわかります。
これを逆にたどると、1に素因数をつけ足して、操作が6回になるようにすればよい、ということがわかります。
「逆向き樹形図」をかいて、枝分けしましょう。
・大問6「割合・食塩水」のように、事実関係が込み入っている問題では、わかりやすく整理することが、対策として重要です。
いかに「見える化」するか?日頃から、練習を積んでおきましょう。
・また、桐朋2021年度第1回・算数では、「算数の発想法」が典型的にあてはまる良問が、多数出題されています。
大問3、大問5では、「等しいものに注目する」という発想法が使われています。
大問4では、「裏から考える」という発想法が使われています。
これらの発想法は、抽象的で身につきにくいと考えられているかもしれません。
確かに、一般的には、そうなのかもしれません。
でも、本年度の問題のように、発想法をわかりやすい形で紹介して下さっている良問を用いれば、算数に必要な発想法とはどのようなものなのかが、具体的に感じ取れます。
当ホームページ内
では、算数の発想法を、さらにくわしくご説明しています。
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