豊島岡2018年第1回算数は、例年通りの出題傾向、難易度でした。
「平面図形」「立体図形(切断)」「速さ」「場合の数」「規則性」など、豊島岡らしい問題が並んでいます。
順に見ていきましょう。
大問1
(1)「計算の工夫」
プラス側は、13579と奇数が並び、マイナス側は、2468と偶数が並んでいます。
奇数も偶数も2ずつ大きくなっていきます。
うまく組み合わせると、「差が一定」になりそう……ということで、3と2が組み合わさるように工夫します。
となります。
よって、11111+1111+111+11+1=12345
(2)「割合(売買損益算)」
仮に3割引きにしてくれなければ、350÷(1-0.3)=500円でした。
500-30×5=350円……50円のお菓子の代金合計。
350÷50=7個(答え)
(3)「等差数列の和」
45+46+47+48+……+54=(45+54)×10÷2=495(答え)
一の位を四捨五入して50となる整数は、10個あります。
54-45=9個としないように、注意しましょう。
(4)「不等式」
9<12<16なので、1辺の長さが3cmの正方形と、4cmの正方形について、何個並べられるか調べてみると、
20÷3=6あまり2。20÷4=5。
よって、面積12㎠。の正方形は5個か6個並べられます。
では、ちょうど6個並べられるぎりぎりの正方形の一辺の長さは?
20÷6=10/3cm
その面積は100/9=11と1/9㎠。
これより少しでも大きいと、6個はムリ。5個になってしまいます。
5個(答え)
大問2
(1)「不定形のつるかめ算」
5点の問題をすべて正解しても52点ということは、何問か?
52÷5=10あまり2
5点の問題は最大10問のようにも見えますが、4点の問題で、残りちょうど2点を取るのはムリ。
5点の問題は8問、4点の問題は3問でちょうど52点。
そこで、仮に、5点の問題は全部で8問。4点の問題は、(100-5×8)÷4=15問とします。
花子さんは、5点の問題と4点の問題を合わせて7問間違えて67点。すなわち、100-67=33点落としている。
ここは、ふつうのつるかめ算。
(33-4×7)÷(5-4)=5
よって、5点の問題を5問、4点の問題を7-5=2問落としたと確定します。
5点の問題は8問、4点の問題は15問あるので、このような落とし方は可能。
よって、答えは8問。
5点の問題を4問減らし全部で4問とし、4点の問題を5問増やして全部で20問としても、合計100点になります。
でも、この場合、花子さんが5点の問題を5問間違えたことと矛盾するので、ナシ。
最後の確認を忘れても、本問は運よく正解できますが、レベルの高い応用問題のときは、致命傷になります。
(2)「規則性(周期)」
信号Aの周期は、5+3=8秒。信号Bの周期は、4+8=12秒。8と12の最小公倍数は24なので、24秒までは、根性で書き出します。
すると、信号Aと信号Bは、0~4秒までの4秒間と、13~14秒までの1秒間、共に点灯していることがわかります。
5分=60×5=300秒
300÷24=12あまり12
よって、まるまる12周期と12秒あります。
(4+1)×12+4=64秒間(答え)
(3)「割合(食塩水)」
てんびんで解きましょう。
てんびんの横ぼう全体を6メモリに設定します。
容器Aから100g、容器Bから200g取り出して混ぜると10%の食塩水になるということは、Aから4つ目のメモリが10%ということです。
容器Aから100g、容器Bから100g取り出して混ぜると12%の食塩水になるということは、Aから3つ目のメモリが12%ということです。
容器Aから200g、容器Bから100g取り出して混ぜると、Aから2つ目のメモリの濃度になります。
1メモリ2%なので、14%(答え)
(4)「平面図形」
色のついた部分を囲むように補助線を引くと、一辺6cmの正三角形が5個できます。
よって、求める周の長さは、半径6cm中心角60度のおうぎ形の弧が10個分と、6cmの線分5本分の合計です。
6×2×3.14÷6×10+6×5=92.8cm
(答え)
大問3「場合の数」
(1)3けたの整数なので、百の位は1、2、3、4、5の可能性があります。
百の位が1の場合、残りの2けたは、04,13,22,31,40の5通り。
百の位が2の場合、残りの2けたは、03,12,21,30の4通り。
百の位が3の場合、残りの2けたは、02,11,20の3通り。
百の位が4の場合、残りの2けたは、01,10の2通り。
百の位が5の場合、残りの2けたは、00の1通り。
合計5+4+3+2+1=15通り。(答え)
各位の数の和が5なので、〇を5個かきます。○○○○○
「3けた」である以上、百の位は最低でも1なので、〇を一つだけ、百の位用に取り分けます。
〇-○○○○
一番めんどくさい所(最も条件の厳しい所=百の位)から片付けるということです。
これで自由になりました。
残りの4個を、百の位、十の位、一の位で、分け合います。
分けるときの仕切り棒を、2本用意します。//
たとえば、131は
〇-/○○○/〇
と表します。203ならば、
○-○//○○〇
と表します。
百の位用に取り分けた1個以外、〇4個と/2本を並べれば、3けたの整数が決まります。○○○○//
その方法は、6個の置き場所のうち、/の置き場所2か所を選ぶことと同じ。(6人の中から、そうじ当番2人を選ぶという、あれと同じ)
よって、
6×5÷2=15通り(答え)
(2)(1)では3けたでしたが、今度は4けたです。
そして、「奇数」という条件が加わりました。
「奇数」の性質は、1の位が1,3,5,7,9。
ということは、1の位の数字を決めれば、「奇数」の条件がクリヤーでき、あとは、3けたの数なので、(1)が利用できるかもしれません。
1の位が1の場合……3けたで、〇が5個なので、まさに(1)と同じ。15通り。
1の位が3の場合……3けたで、〇が3個。千の位用に1個取り分けると、〇が2個と/が2本。4×3÷2=6通り。
1の位が5の場合……1005の1通り。
よって、15+6+1=22通り(答え)
大問4「速さ」
(1)
順番を入れ替えます。
□=45-20=25分(答え)
(2)AさんとBさんの時間の比は20:25=4:5。
とします(倍数算)。
よって、〇1=3分。〇4=12分(答え)
(3)AさんとBさんの速さの比は、時間の比の逆比なので、5:4。よって、距離の比も5:4。
家からAさんとCさんが出会った地点までの距離を5とすると、その時Bさんは、家から4の距離にいました。
差の1の距離をBさんは1分かかって進むので、4の距離は4分かかったことになります。
すなわち、AさんとCさんが出会うのは、出発してから4分後。場所は、Aさんが全部で20分かかる道程のうち、4分の所。1/5の地点。
残りの4/5の距離は360×4=1440m。
よって、家から公園までの距離は
1440÷4×5=1800m=1.8km(答え)
大問5「平面図形(ベンツ切り)」
(1)三角形BHDと三角形AFHの面積が等しいので、ABとFDは平行。
よって、BD:DE=1:1。三角形HDE=2㎠。三角形HEF=2㎠。
よって、BH:HF=4:2=2:1(答え)
(2)三角形ABD=三角形ADE=6㎠。
よって、三角形ABH=4㎠。三角形AEC=20-6×2=8㎠。三角形FEC=8÷2=4㎠。
よってAG:GC=三角形ABF:三角形CBF=(4+2):(2+2+2+4)=6:10=3:5(答え)
大問6「立体図形」
(1)APとQRが交わっている様子を真上から見ると、正方形ABCDの対角線ACとBDが交わっている様子と、ぴったり重なります。
APとQRは、互いに他を2等分している。つまり、AQPRは平行四辺形。
「直方体斜め切り」です。
AE+PG=QF+RHより、HR=2cm(答え)
(2)(1)と同じ理由で、ASPTは平行四辺形。よって、UはAPの真ん中の点。
点Uの高さは、AとPの平均だから、3cm。
よって、求める体積は、5×5×3÷3=25㎤。(答え)
(3)3点AVPを通る平面で、立方体を切断すると、WはFと一致します。
(なぜならば、VPとAWは平行だから)
よって、三角形PVXと三角形AWXは相似で、相似比は4:5。
よって、点Xは、APを9等分したうちの点Pから4つ目の点。
点Xの高さは、1+(5-1)÷9×4=25/9cm
求める体積は、
5×5×25÷9÷3=625/27㎤。(23と27分の4㎤。)
学校公表の受験者平均点は100点満点で61.3点。合格者平均点は74.8点でした。
手も足も出ない超難問は出題されていませんが、後半の大問4~6は、かなりのレベルの応用問題です。
受験者平均点、合格者平均点とも、相当に高いといえます。
対策ですが、やはり、中レベルの問題までは、満点で乗り切る必要があります。
大問1~3は、捨て問ゼロです。大問4(1)、大問6(1)も、豊島岡の受験生であれば、正答率は高いと思われます。
残りの問題。大問4(2)(3)、大問5(1)(2)、大問6(2)(3)のうち、1問か2問解けると、合格者平均点にぎりぎり届くか、届かないまでも、何とか合格できるレベルではないかと、推定します。
豊島岡は、「平面図形」「立体図形」の問題が配点上大きな部分を占めています。
「図形問題が得意な人が有利」と、一応は言えます。
実際、2018年第1回は、図形問題がほどほどの難易度だったので、図形問題の得意な人、図形問題を特訓してきた人は、報われたはずです。
でも、年によっては、図形問題が難しすぎて、そこを得点源にすると、かえって不利になることもあります。
また、大問1~2の小問群も、必ずしも易しいとは限りません。
「ここは必ず満点をとらなければ」という思い込みは、危険です。
全分野、まんべんなく準備し、本番でも臨機応変の対応が必要です。
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