2019年豊島岡・算数(第1回)は、かなり難化しました。
学校公表の受験者平均点は、100点満点で57.66。合格者平均点は66.90。いずれも、例年を10点ほど下回っています。
まずは、どのような問題だったのか、順に見ていきましょう。
大問1
(1)計算問題
(2)場合の数
(3)比
さすがに、ここまでは易しいです。
(4)数の性質
少々手間はかかりますが、落ち着いて解けば、大したことはありません。
ただ、「11で割ると」と「11余る」の数字がダブっているので、「11と31の公倍数より11大きい」などと勘違いするかもしれません。
ここでミスると、苦しくなります。
大問2
(1)差集め算
「仮に、82円切手が5枚少なかったら・・・」と仮定すれば、普通の差集め算です。
(2)仕事算(比)
同じ時間の仕事量を、A2,B3とおきます。
(3)倍数算
A×20+B×36=1024
A×15+B×20=670
とします。
ここまでは、易しい問題ばかりでした。豊島岡の受験生であれば、満点が取れたはずです。
(4)平面図形(面積)
本問は、難問です。なにしろ、図を正確にかくのが、難しい。かといって、ウソ図では、意味不明で、わかりません。
長さを表す数字が、20、16、12と、すべて4の倍数であることから、1辺4mの正方形を、碁ばんの目のようにしきつめて、作図すると、フリーハンドでも、正確できれいな図がかけます。
そうすれば、あとは易しいです。半円3つと、直角三角形一つです。
この問題は、点線の直角三角形が、「柵(さく)ではない」という点に、注意が必要です。
よく、塾のテキストでは、点線部分が柵だったり、牛小屋だったりして、中に入れない問題を勉強していますが、つられて引っかからないようにしましょう。
大問3 規則性
「5の倍数」と「7で割ったときの余り」「7で割ったときの商」が、問われています。
当然、周期は5と7の最小公倍数35となります。
35までは根性で書きだして、あとは計算で求めます。
(2)が少々手間ではありますが、ぜひゲットしたい問題です。
大問4 点の移動・面積
(1)は練習。易しいです。
(2)は難問。まともに解くと、2次方程式になります。(つまり、解の公式を使わない限り、普通は解けません)
でも、(1)をヒントとして、最大限利用すると、何とかなります。
(1)で12秒後の図形アの高さが8cmで、図形イの高さ8cmと等しくなっています。
ここに注目すると、以後、線分PQが右に動いたとき、アイの右側に新たにできる長方形部分は、面積が等しくなり、差がつきません。
そこで、アの右上に新たにできる直角三角形の面積が、(1)で求めた12平方cmになったとき、アとイの面積が等しくなります。
この直角三角形は、縦:横=2:3で面積が12。縦:横=2:3の長方形に直すと、面積24。
この長方形を、2×3=6個の正方形に分割すると、1個の面積は4。
ゆえに、正方形の1辺は2cmと求められ、うまく解決できます。(くわしくは、授業で説明します)
□×□=4も、2次方程式ですが、このくらいは、反則ではありません。
大問5 ルール指定・場合分け
本問は、豊島岡でよく出題される、パズル系の問題です。
(1)花子さんは、3回勝ち続けても、Hにはたどりつきません。
従って、何回か負けて(逆行して)Hに着いたことになります。負けた回数は、1回か?2回か?・・・と考えていきましょう。
(2)あいこの回数は1回か?2回か?3回か?と、場合分けすれば、解けます。
(1)(2)とも、じゃんけんの回数は3回なので、全検索しても、たいして手間ではありません。
やや難しいですが、豊島岡の受験生であれば、対応できます。
(3)が難問。(1)(2)をヒントにできないか、考えます。
すると、(1)(2)では、同じ点から出発して、4つ離れた点に移動していることに気づきます。
ということは、(3)では、4つ離れた点にいて、同じ点に移動する、つまり、位置関係が4つズレると考えれば、(1)(2)が利用できそうだ、と気づきます。
大問6 立体切断・体積
(1)は易しいので、みなさん解けます。
(2)(3)は難問。
(2)では、水面BDGが、軸CEの3等分点のうち、C寄りの点を、垂直に横切ります。
(3)では、空気部分が、(2)の空気部分の三角錐と相似になり、相似比が、3:4になります。(くわしくは、授業で説明します)
以上、見てきたように、2019年豊島岡・算数(第1回)は、難問が多かったです。
特に、大問2(4)、大問4(2)、大問5(3)、大問6(2)(3)の5問は、本番では、「捨て問」にするのも、やむを得ないでしょう。
学校公表の各種平均点(前述)から推定すると、小問単位で、全18問のうち、6~7問は落としても、合格できそうです。
難問5問プラス、もう1~2問の余裕はあります。
そう考えると、例年通り、標準的な問題から、難問1歩手前の応用問題までを、しっかり得点することが、対策として重要です。
問題は難化しましたが、合格点も下がったので、対策は例年通りで大丈夫、というイメージです。
塾のテキストで、それにふさわしいレベルの問題を、十分解き込むとともに、ミスを防ぐための工夫もしておきましょう。
あと、難問についてですが、大問4(2)や、大問5(3)のように、前の小問をヒントにする問題が、出題されています。
日ごろから、前の小問を利用する方法について、なるべくチェックしておきましょう。ほんの、ちょっとしたところに、ヒントがあります。
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