概要
豊島岡中学2021年度第1回算数は、ほぼ例年通りの出題傾向、難易度でした。
学校公表の受験者平均点は100点満点で、60.19点、合格者平均点は72.32点。
算数だけで、12点以上の差がついています。
この傾向は、第2回、第3回と、さらに拡大します。
出題分野は広範ですが、この回は、平面図形の配点が少な目で、その分、ピリッとスパイスの効いた出題になっています。(大問2(3)(4))
豊島岡定番の立体切断は、易し過ぎず、難し過ぎず。
この傾向は、他の問題も同様で、全体的に、中~中の上レベルの問題が、大部分を占めています。
ただ、大問2が、この位置の問題としては、やや難しく、時間配分が合否を分けたかもしれません。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に、難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ |
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大問1 |
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(1) | 計算 | A |
(2) | 計算 | A |
(3) | 数の性質 | B |
(4) | 場合の数 | C |
大問2 | ||
(1) | 消去算・対称性 | B |
(2) | 速さと比・差集め算 | D |
(3) | 平面図形・半×半 | D |
(4) | 平面図形と比 | D |
大問3 | ||
(1) | 売買算・平均算 | B |
(2) | 売買算・差集め算 | C |
大問4 | ||
(1) | 点の移動・周期 | C |
(2) | 点の移動・周期 | D |
大問5 | ||
(1) | ルール指定・規則性 | C |
(2) | ルール指定・規則性 | E |
(3) | ルール指定・規則性 | E |
大問6 | ||
(1) | 立体切断・体積 | B |
(2) | 立体切断・体積 | D |
(3) | 立体切断・体積 | E |
では、順に見ていきましょう。
大問1(1)~(4)
ここは、速攻で満点です。
大問2
(1)
(ABC×)(AB×D)(A×CD)(×BCD)と、4種類の文字が3回ずつ出てきます。(1回ずつ抜けています)
よって、全部足して、3で割ればよい。
(2)
出会いまで、豊子さんは、花子さんより、280m多く進みます。
豊子さんがA地点に戻ったとき、花子さんより、480m多く進みます。
よって、時間の比、距離の比、ともに7:12です。
超難問ではありませんが、易しくもありません。
まだ緊張が抜けきっていない時間帯。
シンプルな問題なので、すぐ思いつかないと、かなりあせるかもしれません。
でも、保留にして、大問6まで目を通し終わってから、落ち着いて取り組めば良いでしょう。
なお、「豊子さん」は豊島岡に由来しているのでしょうが、「花子さん」は、いずこの生まれでしょうか?
学校前の街路樹の横に、花だんがあり、私の記憶では、確か、豊島岡の「美化委員会(だったかな)」の生徒さん達が、ボランティアでお世話しているようです。
昨年、今年と、学校訪問が難しい状況です。
高速道路のすぐ横、オフィスビルのように建っている校舎。
「校庭ってどこ?」
という感じの学校ですが、このような形で、自然に触れているのかなと思います。
本問出題の先生は、美化委員会の顧問でしょうか。
(3)
直線ABの長さが6cm……
「こんな変な部分の長さを教えてもらっても、半径わからん!」
と、叫びたくなります。そして、
「あっ、そうか。半径わからんと叫びたくなったときは、半径×半径のかたまりが、わかるはずだ」
と考えます。
そこで、円の中心をOとすると、三角形OABは直角二等辺三角形。
これで解けました。
(4)
BD:DA=6:9=2:3
三角形BDEの面積:三角形DEFの面積も2:3
意味ありげに一致しています。
そこで、三角形ADEを考えると、三角形ADEとDEFは面積が等しく、等積変形の関係にあることが、わかります。
よって、ACとDEは平行。
これで解けました。
大問3
(1)
売買算、平均算の、基本問題です。
大問2が結構手強かったので、ほっとしますが、ここで怖いのがミス。
慎重にいきましょう。
(2)
売買算、取り違えの差集め算の基本問題です。
(1)の問題文が非常に短いのに比べ、(2)はけっこう長文で、いかにもすごそう……
「さては、(1)を利用して考える応用問題に違いない!」
という先入観をあおられます。
大いに身構えます。
ここで、(1)と、どのような関係にあるのか?と考えてしまうと、一瞬とまどいますが、実は、まったく関係ありません。
(1)がなければ、簡単に解けるのに、難しく見えてしまうところが、引っかけでしょうか。
引っかける意図があったかどうかは、不明ですが。
大問4(1)(2)
この手の「点の移動」は、PQそれぞれがBC間にいる時間帯を書き出すのが、鉄板です。
塾でも、何度か解いたことがあるでしょう。
その時の経験からすると、かなり手間がかかりそう、という先入観をあおられます。
とくに、某中学あたりで出題されたとすると、これはもう、中途半端な数字をさんざんこねくり回したあげく、結局ミスってしまうという、悪夢の恐れがあります。
でも、豊島岡は、そのような方向での難しさは追求していないようで、本問も、計算はラク。
理論で勝負。
意外とスッキリ解けます。
PQそれぞれが同時にスタートに戻るのは、最小公倍数の210秒後。
ここまでの表をしっかり作って、解きましょう。
大問5
(1)
とにかく、黙々と書き出します。
(2)
急に、難しくなります。これは、(1)を利用しないと、どうにもなりません。
(1)で、15個調べた結果、初めのうちは+2、+3、続いて+5、そのうち+7、+11となっていきます。
素数が並んでいます。
しかも、一度大きくなると、小さくなりません。
なぜか?
ここで、+3から+5への切り替わり、+5から+7への切り替わり……など、切り替わり部分を調べます。
そうすると、
という規則性が見えてきます。
よって、初めて47が登場するのは、47より1つ手前の素数43×47のとき。
よって、43×47=2021が答え。
本問は2021年問題でした。
豊島岡の受験生であれば、おそらく全員が、2021の素因数分解を準備していたはずなので、47の倍数ときいて、当てカンで2021と答えた受験生も多かったと思います。
その分、平均点は上がったでしょう。
過去問演習で本問を解く受験生は、2022年度以降の受験ですから、2021の素因数分解は、教わっていない可能性が高いです。
この点は、考慮に値します。
(3)
本問も、規則性が見つかれば、(2)と同じ要領で解けます。
ただし、当てカンは使えません。
大問6 立体切断
(1)基本問題です。
(2)2つの切り口が交わる問題です。やや高度ですが、定番問題です。
(3)三角すいの2つの面、DJGとDJHそれぞれが、四角すいの斜面KLGHと、どのように交わるか?と、分解して考えれば、(2)と同じ。簡単になります。
「傾向」で見てきたように、中~中上レベルの問題が多いとはいえ、易しい順に並んでいるわけではなく、デコボコがあります。
難易度の感触は人それぞれという面もありますが、今回は大問2が、大問3、大問4より、難しかったかもしれません。
大問2を上手にスルーし、大問3、大問4を落ち着いて正解できたかどうかが、合否に直結したのではないかと、推測します。
当ホームページ内、
でも述べたように、難易度を判断する「鑑識眼」を養うことが、重要です。
「自分にとって難しければ、他の人にも難しいはずだ」
と、自信をもって言い切れるだけの準備をしておきましょう。
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