筑駒の算数 対策まとめ


NEW! 筑駒の算数2024年

NEW! 筑駒中学の国語

1、傾向

筑駒の算数入試問題で、最もよく出題される分野が、「場合の数」「規則性」です。

 

過去10年間で、「場合の数」が全配点中に占める割合は30.4%、「規則性」は28.7%で、この2分野だけで、約6割を占めています。

 

   出題分野別・配点比率
場合の数 30.4%
規則性 28.7%
平面図形 14.3%
点の移動 12.1%
数の性質 10.2%
その他 4.3%

(2012~2021年)

 

 

出題形式では、

  • 「すべて求めなさい」
  • 「何通りですか」
  • 「何個ありますか」

など、「全検索」する問題や、

  • 「はじめて○○となるのは」
  • 「最も大きくなるのは」

など、「特徴」をつかむ問題が、多数出題されています。

 

 

「全検索」と「特徴発見」を含む大問は、ここ10年間で40問中31問に及んでおり、77.5%を占めています。

 

この傾向は、いったい何を意味しているのでしょうか?

 

それは、これらの問題を解く過程に注目することによって、理解できます。

 

筑駒の算数入試問題は、おおよそ、以下の手順で、解き進めていきます。

 

1、まず、出題者がゲームのルールを説明します。

 

当然、初見の問題となります。一読しただけでは、ほとんどチンプンカンプンです。

 

2、小問(1)では、簡単な例をとって、練習させてくれます。

 

ここでようやく、ゲームのルールを理解できます。

 

3、小問(2)では、やや難しい例について、問われます。

 

「はじめて○○するのは」といった、特徴的な部分について、問われることが多いでしょう。

 

まだ、根性が通用するレベルの問題なので、問題文の指示に従って、ひたすら手を動かし、数字を書き並べることになります。(試行錯誤)

 

そのうち、答えが見つかります。

 

この段階で、「直観」の優れている子は、ゲームのルールの下で起きる現象について、どのような規則性があるか、「特徴」をつかみます。(パターン認識)

 

4、小問(3)では、とても難しい場合について、問われます。

 

もう、根性が通用するレベルではありません。

 

「とても大きな数」の問題では、すべて書き出すのは無理です。規則性に基づく理論が必要です。

 

「すべて求めなさい」といった全検索の問題では、考え落ちがないように、論理的に「場合分け」することも必要です。

 

小問(2)の段階で直観的に特徴をつかんでいた受験生は、小問(3)で、直観的な結論に対する論理的な裏づけを行い、得点することができます。

 

筑駒の算数を解く手順をモデルケース化すると、だいたい、こんな感じになります。

 

何となく、科学のミニ実験のようです。

  1. まず、試行錯誤する
  2. 次に、直観的に特徴を見抜く
  3. 最後に、直観が正しいことを、論理的に確認する

という段取りです。

 

1問あたり、わずか10分ほどですが、合格者は、このようなことを行っています。

 

つまり、筑駒合格に必要な能力は、

  1. 直観にもとづく「規則性発見能力」
  2. 直観が正しいことを論理的に確認するための「場合分け能力」

の、2点です。

 

解法を「教わり」「理解し」「記憶する」だけでは不十分。自分の力でパターン認識できなければなりません。

 

よって、筑駒の算数対策は、この2つの能力をいかに鍛えていくかということになります。

2、対策

筑駒の算数対策として重要なのは、

  1. 規則性発見能力(パターン認識能力)
  2. 場合分け能力

の2点を身につけることです。

 

しかも、制限時間が40分と、きわめて短いため、これらを「効率的に」「正確に」行うトレーニングが必要です。

 

では、具体的にどのような勉強をすれば良いのでしょうか?

 

「規則性発見能力を身につけるには、規則性の問題を解けば良い。」

 

「場合分け能力を身につけるには、場合の数の問題を解けば良い。」

 

確かに、そうです。

 

でも、それがすべてではありません。

 

筑駒の「点の移動」の問題は、2つの点、3つの点が、規則的な動きをします。つまり、「点の移動」の問題の中にも、「規則性発見能力」という栄養成分が、含まれています。

 

さらに印象的なのは、2020年大問4(3)、「平面図形」の問題です。

 

本問の解法を「自力で」思いつくためには、「ア」の面積の最大値、最小値を見抜く直観力と、その直観が正しいことを証明する「場合分け能力」が必要です。(厳密には、最大値、最小値は存在しないので、極限値になります)

 

問題文には、「ア」の最大値、最小値を求めなさいとは、一言も書いてありませんが……

 

書いてなくても、図形の特徴、規則性をつかむために、自分で考えてみるのです。(思考実験)

 

まさに、「筑駒の平面図形」です。

 

 

このように、出題分野としての「規則性」「場合の数」と、算数の発想法としての「規則性発見能力」「場合分け能力」を区別することを、レッツ算数教室では、「新たな枠組み」と呼んでいます。 

 

これが、中学受験・算数の「最新傾向」です。

 

     新たな枠組み
 

規則性発見能力

(パターン認識能力)

場合分け能力 その他の発想法
論理推理  
代数
図形

 

縦軸は、従来の「出題分野」にあたります。最新傾向では、出題分野の分類が不可能な「融合問題」が多いことから、あえて、「論理推理」「代数」「図形」の3分野でくくっています。

 

横軸は、「算数の発想法」にあたります。個々の問題を解くために必要な能力であり、解くことによって身につく能力でもあります。

 

様々な分野の問題を解きながら、「規則性発見能力」や「場合分け能力」を中心とする算数の発想法を吸収する。

 

そして、本番では、必要に応じてそれらを繰り出して、初見の問題にも対応する。

 

これが、筑駒の最新傾向問題に対処するための勉強方法です。

 

この最新傾向が最も進んでいるのは、現在のところ、筑駒、開成、麻布、栄光学園の4校です。

 

レッツ算数教室では、これらの学校の解法を理解するにとどまらず、

 

「いかにして、自分で思いつくか」

 

という点を重視した指導を行っています。

 

なお、「新たな枠組み」については、

 

開成の算数(タップ・クリックできます)

 

麻布の算数(タップ・クリックできます)

 

の記事でも、様々な角度から、くわしくご説明しています。



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