筑駒の算数入試問題で、最もよく出題される分野が、「場合の数」「規則性」です。
過去10年間で、「場合の数」が全配点中に占める割合は30.4%、「規則性」は28.7%で、この2分野だけで、約6割を占めています。
出題分野別・配点比率 | |
場合の数 | 30.4% |
規則性 | 28.7% |
平面図形 | 14.3% |
点の移動 | 12.1% |
数の性質 | 10.2% |
その他 | 4.3% |
(2012~2021年)
出題形式では、
など、「全検索」する問題や、
など、「特徴」をつかむ問題が、多数出題されています。
「全検索」と「特徴発見」を含む大問は、ここ10年間で40問中31問に及んでおり、77.5%を占めています。
この傾向は、いったい何を意味しているのでしょうか?
それは、これらの問題を解く過程に注目することによって、理解できます。
筑駒の算数入試問題は、おおよそ、以下の手順で、解き進めていきます。
1、まず、出題者がゲームのルールを説明します。
当然、初見の問題となります。一読しただけでは、ほとんどチンプンカンプンです。
2、小問(1)では、簡単な例をとって、練習させてくれます。
ここでようやく、ゲームのルールを理解できます。
3、小問(2)では、やや難しい例について、問われます。
「はじめて○○するのは」といった、特徴的な部分について、問われることが多いでしょう。
まだ、根性が通用するレベルの問題なので、問題文の指示に従って、ひたすら手を動かし、数字を書き並べることになります。(試行錯誤)
そのうち、答えが見つかります。
この段階で、「直観」の優れている子は、ゲームのルールの下で起きる現象について、どのような規則性があるか、「特徴」をつかみます。(パターン認識)
4、小問(3)では、とても難しい場合について、問われます。
もう、根性が通用するレベルではありません。
「とても大きな数」の問題では、すべて書き出すのは無理です。規則性に基づく理論が必要です。
「すべて求めなさい」といった全検索の問題では、考え落ちがないように、論理的に「場合分け」することも必要です。
小問(2)の段階で直観的に特徴をつかんでいた受験生は、小問(3)で、直観的な結論に対する論理的な裏づけを行い、得点することができます。
筑駒の算数を解く手順をモデルケース化すると、だいたい、こんな感じになります。
何となく、科学のミニ実験のようです。
という段取りです。
1問あたり、わずか10分ほどですが、合格者は、このようなことを行っています。
つまり、筑駒合格に必要な能力は、
の、2点です。
解法を「教わり」「理解し」「記憶する」だけでは不十分。自分の力でパターン認識できなければなりません。
よって、筑駒の算数対策は、この2つの能力をいかに鍛えていくかということになります。
筑駒の算数対策として重要なのは、
の2点を身につけることです。
しかも、制限時間が40分と、きわめて短いため、これらを「効率的に」「正確に」行うトレーニングが必要です。
では、具体的にどのような勉強をすれば良いのでしょうか?
「規則性発見能力を身につけるには、規則性の問題を解けば良い。」
「場合分け能力を身につけるには、場合の数の問題を解けば良い。」
確かに、そうです。
でも、それがすべてではありません。
筑駒の「点の移動」の問題は、2つの点、3つの点が、規則的な動きをします。つまり、「点の移動」の問題の中にも、「規則性発見能力」という栄養成分が、含まれています。
さらに印象的なのは、2020年大問4(3)、「平面図形」の問題です。
本問の解法を「自力で」思いつくためには、「ア」の面積の最大値、最小値を見抜く直観力と、その直観が正しいことを証明する「場合分け能力」が必要です。(厳密には、最大値、最小値は存在しないので、極限値になります)
問題文には、「ア」の最大値、最小値を求めなさいとは、一言も書いてありませんが……
書いてなくても、図形の特徴、規則性をつかむために、自分で考えてみるのです。(思考実験)
まさに、「筑駒の平面図形」です。
このように、出題分野としての「規則性」「場合の数」と、算数の発想法としての「規則性発見能力」「場合分け能力」を区別することを、レッツ算数教室では、「新たな枠組み」と呼んでいます。
これが、中学受験・算数の「最新傾向」です。
新たな枠組み | |||
規則性発見能力 (パターン認識能力) |
場合分け能力 | その他の発想法 | |
論理推理 | |||
代数 | |||
図形 |
縦軸は、従来の「出題分野」にあたります。最新傾向では、出題分野の分類が不可能な「融合問題」が多いことから、あえて、「論理推理」「代数」「図形」の3分野でくくっています。
横軸は、「算数の発想法」にあたります。個々の問題を解くために必要な能力であり、解くことによって身につく能力でもあります。
様々な分野の問題を解きながら、「規則性発見能力」や「場合分け能力」を中心とする算数の発想法を吸収する。
そして、本番では、必要に応じてそれらを繰り出して、初見の問題にも対応する。
これが、筑駒の最新傾向問題に対処するための勉強方法です。
この最新傾向が最も進んでいるのは、現在のところ、筑駒、開成、麻布、栄光学園の4校です。
レッツ算数教室では、これらの学校の解法を理解するにとどまらず、
「いかにして、自分で思いつくか」
という点を重視した指導を行っています。
なお、「新たな枠組み」については、
の記事でも、様々な角度から、くわしくご説明しています。
(青い文字をタップ、クリック) |
筑駒中学の国語 |
筑駒 算数 対策 2024年 |
筑駒 算数 対策 2023年 |
筑駒 算数 対策 2022年 |
筑駒 算数 対策 2021年 |
筑駒 算数 対策 2020年 |
筑駒 算数 対策 2019年 |
筑駒 算数 対策 2018年 |