目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2,各論(大問1~5) |
「対策」 |
(1)入試結果
逗子開成中2020年度第1回・算数は、ほぼ例年通りでした。
学校公表の受験者平均点は、150点満点中、94.7点。合格者平均点は、113.1点でした。
(2)出題分野
「平面図形」「立体図形」「集合」「ルール指定問題」「割合」「数の性質」「場合の数」など、様々な分野から出題されています。
大問3「ルール指定問題」は、正三角形の回転移動、線対称移動。大問4「平面図形」は、点の「反射=線対称移動」。いずれも、動きのある図形問題で、本年度の特徴となっています。
(3)難易度
前半は標準的な問題で、後半(大問3以降)は、難度が上がり、応用的な問題となっています。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 計算問題 | A |
(3) | 計算問題 | A |
大問2 | ||
(1) | 数の性質 | B |
(2) | 割合・相当算 | B |
(3) | 場合の数 | C |
(4) | 平面図形 | C |
(5) | 仕事算 | B |
(6) | 立体図形・展開図 | D |
大問3 | ||
(1) | ルール指定問題 | B |
(2) | ルール指定問題 | C |
(3) | ルール指定問題 | E |
大問4 | ||
(1) | 平面図形・反射 | B |
(2) | 平面図形・反射 | D |
(3) | 平面図形・反射 | E |
大問5 | ||
(1) | 集合 | C |
(2) | 集合 | C |
(3) | 集合 | D |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1「計算問題」
ウオーミングアップ問題です。
0.125=1/8などは、必須知識です。
大問2
(1)「数の性質」
余りが共通です。7と6の公倍数に5を足します。
(2)「割合・相当算」
Aを⑤とすると、Bは⑦、Cは④+2となり、効率的に計算できます。
(3)「場合の数」
3つの文字の組み合わせは
となります。全18通り(答)
(4)「平面図形」
「差」がわかればよく、「面積そのもの」を求める必要はありません。
そこで、比べやすいように、共通部分をつけ加えて考えます。
(5)「仕事算」
A×180=A×150+B×50
A×30=B×50
Aを5、Bを3、全体を900とします。
900÷3=300分=5時間(答)
(6)「立体図形・展開図」
展開図上で90度の切り込みが入っている部分は、組み立てると、辺が重なります。
この性質を利用すると、Aの上はC、Cの右はBと、いもづる式にわかります。
大問3「ルール指定問題」
操作①②は裏返し。③は回転です。
1度裏返したものは、再び裏返さないと、元にもどりません。
よって、はじめの位置にもどったということは、①、②を合わせて偶数回行ったということを、意味します。
(1)は、練習。
(2)は、残り2回のうち、③が1回。①または②が1回。
(3)は、③が1回。①または②が、合わせて2回。
1回目が①、②、③で、場合分けします。
大問4「平面図形・反射」
鏡の中の世界を次々と書き足していく問題です。
解法自体は有名ですが、問題は計算です。半端な数字をいかにいなしていくかです。
(1)は問題ないでしょう。
(2)(3)は、右下がりの角度、3:1.6を、1辺4cmとどのように合わせるかが、問題です。
3:1.6=15:8
15と4の最小公倍数は60なので、正方形の1辺の長さを60と設定すると、すべて整数で計算できます。
45:24=60:32
よって、最初のBYは24。以後、正方形1個分下がると、右へ32ずれます。
24→56→88→120で、頂点にあたり止まります。
すなわち、上から4個目、左から2個目の正方形の、右下の頂点Aで止まります。
大問5「集合」
本問も、解法自体は有名ですが、問題は計算です。半端な数字をいかにいなしていくかです。
(1)は問題ないでしょう。
問題は(2)です。
上 | 下 | 合計 | |
A | 「11」 | [6] | ⑦ |
B | 「10」 | [5] | ⑥ |
合計 |
という関係が成り立ちます。
倍数算の要領で、[ ]の数を合わせます。
よって、
「5」=①、[1]=「4」
これをもとに、上の表を書き直します。
上 | 下 | 合計 | |
A | 「11」 | 「24」 | 「35」 |
B | 「10」 | 「20」 | 「30」 |
合計 |
(2)は、11:24(答)
(3)は、A駅の利用者が35の倍数であることを利用します。
1570以上、1600以下の35の倍数は1575。
このとき、B駅の下り利用者「20」は、
1575÷35×20=900人(答)
・理論的に難しい問題は、大問3です。
回転移動と裏返しの関係について、いくつか試しながら、規則性を発見できるかが、問われています。
もっとも、(1)(2)は、とにかく頑張っているうちに、偶然見つかることもあるでしょう。
大変なのは、「すべて答える」(3)だけです。
・これに対し、理論的には知識化されている定番問題でありながら、計算が大変なのが、大問4、大問5です。
特に、大問4は、まともに計算すると、分母が3の分数がぞろぞろ出てきて、手間がかかります。
かといって、正方形の1辺の数を大きくし過ぎると、ケタ数の大きい計算になり、それはそれで大変です。
なるべく小さい整数で処理するための技術を身につけることが、対策として重要です。